(2016/10/18)
労働基準法、三六協定を考える(1)
会社が労働者に時間外労働・休日労働をさせる場合、労働基準法 に定められた三六協定(サブロクキョウテイ)を締結して、所轄の 労働基準監督署長に三六協定書を届けなければなりません。
三六協定は労働基準法第36条に定められています。会社は必要な 場合、従業員に時間外労働・休日労働を命じなければなりません。そ のため、労働基準法第36条は使用者である経営者にとっても、労働者であ る会社員にとっても非常に重要な条文です。
私は若いとき、工場に勤務したことがありましたが、その時、必要 があって衛生管理者の勉強をしたことがありました。衛生管理者は 労働衛生の国家資格であり、一定以上の従業員のいる職場には必ず 衛生管理者の配置が必要です。
そして、衛生管理者はその職場の労働衛生に関する仕事をするのです。 衛生管理者の勉強の中に、重要な項目として労働基準法があり、そこで 三六協定のことを勉強したのでした。そして、私は衛生管理者の資格を 得て、その工場で労働衛生の仕事をしたのでした。
( 1カ月に100時間という過度な残業 )
その後、私は30代後半で転職しました。その会社で私は50代に なった頃、ある職場で働いていました。その職場の中で私とは別の部署の 方(かた)でしたが、1カ月に100時間の残業をしましたという方がおられまし た。別の部署の方ですので、残業の業務内容は分かりませんでしたが、 過度な残業であることが心配でした。
過度な残業で本人の心身に何か良くないことがあった場合、会社は責任 を問われます。例え,本人が自主的に残業をしていたとしてもです。過度な 残業を管理者が黙認していた場合、労働基準法上、会社の指示による残業と なるのです。
私は会社の三六協定はどうなっているのだろうか、と気になりました。 それで、人事部に「当社の三六協定はどうなっていますでしょうか。」と 電話で問い合わせてみたのです。人事部の方は「何かありましたでしょう か。」と言いました。
そう聞かれると、部署が別の方のことでもあり、具体的な話はしづらくて、 「いえ、何もありません。」と答えてその時は終わりました。そして、その 1,2カ月後に会社の掲示板に「この度(たび)、労働基準監督署の指導により 三六協定書を掲示することになりました。」という掲示がされました。三六 協定書の写しが添付されていました。
( 三六協定の内容は社員に知らされなければならない )
私は驚きました。その時、私が勤務していた会社は創業以来、順調に発展 し既に一部上場企業でした。しかし、それまで三六協定書の内容が社員に知 らされることなく、社員に残業させていたのです。
三六協定が締結されて労働基準監督署長に届出されていても社員にその内 容が知らされていなければ、職場の現場においては三六協定が無いのと同じ です。
私は迂闊(うかつ)でした。人事部門勤務ではないとはいえ、衛生管理者 の資格を持っていたのです。私の衛生管理者資格は死んでいたのです。もっ と早く人事部に三六協定のことを確認するべきでした。
その時、私は深く反省しました。三六協定の締結内容を社員に知らせること なく残業させるなど、まともな会社のすることではありません。その時、私が 勤める会社は、創業から約30年、やっと、まともな会社になったのでした。
最近、広告代理業で有名な D 社の若い社員が過度な残業の結果、自分で命 を断ったことが報道されました。痛ましいことです。労働基準法、三六協定、 といったことがどうなっていたのでしょうか。そのことは、次回考えてみたい と思います。
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