(2018/10/1)

若い人は上司の嫉妬心に気をつける(2止)

(前頁より続きます)

ところで、日本人の書く経済学入門書も多数ありますが、どうもそれらは 理科室の骨格標本のようなものになるのです。肉の部分が無いのです。経済学と いう学問の性質上、肉の無い骨格だけでは経済学にはなりません。

日本人の学者は外国の経済学入門書を読んで骨格部分だけを取り出して骨格標本 のような本を書くのかもしれません。経済学は英国人アダム・スミスの「国富論」 から始まります。経済学には体力が必要です。残念なことですが、英米人の 長い肉食文化から来る彼らの強い体力のためでしょうか、経済学は、やはり、 今のところ、英米のアングロサクソンの学問であると思われるのです。

幸いなことに最近は翻訳技術が向上し、英語から和訳された本は昔の和訳本と 違ってとても読みやすいです。実は私は50年も前の昔、大学で「原書購読」と いう授業を受けたことがありました。イギリス人リカードが書いた経済学の古典 を原書で読むのでした。

担当の先生のご指導のおかげで、よく分かったのですが、念のため有名な I(アイ)書店の文庫版の翻訳本で意味を確認したところ、これがひどい文章で、 この翻訳本を手に取ったことをひどく後悔しました。創立者がT万円札の肖像に なっている 有名な K大の先生の翻訳でした。

この先生が出版したご自分の本は堂々たる風格の文章で有名でした。大学教師の 枠を超えて、優れた鋭い有益な社会評論の本を多数出版しました。私は若い頃 その文章に引かれて、この先生の本をよく読んだものですが、英語の翻訳になる と、なぜか途端にどうしようもないヨタヨタの文章になるのでした。

K大のトップを長く勤め、名文家の経済学者として知られていましたので、経済学の古典の翻訳を頼まれたのでしょうが、 英語に弱かったのでしょうか、誤訳の多い本としても有名ですので、翻訳の仕事 を引き受けたりしなければ良かったのにと心から思いました。50年も前の昔の ことですが、残念な辛い読書体験でした。

( ある首相は経済学の基本用語が分からないのだった )

ところで、随分と以前のことですが、社会運動家出身の政治家で、その後の日本に多くの災いを残した ある首相が経済学の基本用語が分からなくて、国会の質疑で困ってしまったことが ありました。 その首相も上記のスティグリッツの本を一度読んでおけば、国会質疑 で立ち往生することも無かったわけです。

その首相は、学生時代は政治デモ活動に忙しくて、 勉強する時間が無かったのかもしれませんが、国を背負う首相ともなれば、 経済学の基本用語ぐらいは弁(わきま)えていてほしかったものです。

経済学の基本用語も分からないその首相の政治はその後の日本に多くの苦悩を残しま した。しかし、これはその首相のような方(かた)が代表になる可能性のある政党に選挙に よって政権に着かせた国民の責任であって、民主主義政治の怖い部分を思い知 らされたのでした。

その後、その首相は現在も 元首相として国会議員の地位を保っており、そのマイナスの付けの部分はすべて我々国民 が背負わされているわけです。選挙の投票は本当に慎重でなければいけません。

上記のスティグリッツの本は会社員の仕事に直接役立つというわけではありませんが、 仕事で忙しい会社員が現代の激動する資本主義経済を生き抜くための経済学の 基礎教養としては、この1冊で十分と思われるのです。索引を含めると546頁も ありますので読むのは大変ですが、頁数も中味もともに薄っぺらい経済学入門書を 何冊も読むよりも、これ1冊を読む方(ほう)が忙しい会社員にとって効率的で 賢い読書であるでしょう。

とりあえず第1章から第3章までの100頁余りを読んで、経済学の主要な概念から 需要と供給までの基礎を理解し、後(あと)は関心と必要に応じて、 その時々に必要な所を読むというのも良い方法だと思います。会社員の場合、本は必ずしも 全体を読むのではなく、優れた本の必要な所だけを読むという、読み方の工夫が大切に 思えます。知的関心に引きつけられて、かつ、時間がありましたら、全体を読む のも、もちろん、良いことです。

新入社員の方(かた)も何年かして仕事に余裕ができましたら、このスティグリッツの本 を読んでおくと経済を見る目が鋭くなり公私にわたって役立つことと思います。

( 新入社員は上司の嫉妬心を刺激しないように気をつける )

話は戻りますが、新入社員の方は無用に上司の嫉妬心を刺激しないように十分注意 することをお薦めします。上司の嫉妬心は、ご自分が仕事をし、会社員として成長 していく上で思いがけない無用の障害になります。頭の毛が薄い上司であった場合 などは特に要注意です。そして、低い身長、肥満の上司にも十分な注意が必要です。

世慣れない新入社員の方(かた)は、男が自分の見た目をそんなに気にするだろうか、 と思うかもしれません。しかし、もちろん個人差はありますが、私の経験からすると 男だからこそ自分の低い身長など見た目に対して解消し難い深い劣等感を抱えている ものなのです。

今から随分前のことですが、ある大臣はフサフサの豊かな髪を長髪にして波打たせ、ヘアースタイルなどのファッションにとても気を使うおしゃれ な方(かた)でした。そして、ご自分の低い身長を補うため、俳優のように厚底の靴 を履いていました。そして、ズボンを長めにして厚底の靴が見えないように気をつけて いました。

しかし、油断があったのでしょうか、ある会合で椅子に深く腰をかけた、その大臣は足を 組んだためズボンの裾(すそ)がズリ上がってしまい、厚底の靴が丸見えになって しまったのです。

見逃してあげれば良かったのに、意地悪な週刊誌カメラマンがこの絶好の シャッターチャンスを逃がさなかったのです。その大臣の厚底の靴は次の週の週刊誌 グラビアを派手に飾ることになったのでした。

その大臣がご自分の低い身長を補うため厚底の靴を履いても政治的には何の問題もありま せん。厚底の靴は安定が悪いでしょうから、転んだりしてケガなどしないように、 ご自分で気をつけられればよいだけのことです。

私は、その週刊誌グラビアを見ながら、大臣という大変な高位の地位についても解消 できない、普通の身長の男には想像できない、男の低い身長への劣等感の根深さを、 自分の会社員時代に出会った人たちを思い出しながら、あらためて考えさせられたので した。

そして、その後、政界の状況が変わったということもあるのでしょうが、その大臣は どこの政党にも属さない無所属の政治家になって、週刊誌などで見かけることも すっかり無くなったのでした。

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(了)