朝礼について考える
私が会社に就職して数年した頃、朝礼が始まりました。社員が交代で朝、仕事が 始まる前に皆の前で 3分間話をするのです。話題は何でもよいということでした。
話の上手な方(かた)もおられますが、話の上手でない方もおられるのでした。朝礼の 話題に苦しんで「今日は何も話すことはありません。」と言って終わる方もいました。
私も朝礼は苦手なほうでした。労務管理の本を読んでみますと朝礼の役割は、 社員に意見を言ってもらって経営に参加してもらうこと、そして不満を吐き出し てもらって労使関係を良好にするためである、と説明されていました。
( 朝礼は社員を管理する道具になった、しかし、良い面もあった )
しかし、実際のところは別でした。むしろ、朝礼は会社が社員を管理するため の道具の一つとして使われるのでした。社員が何を考えているのかを会社が把握 するための管理の道具になったのです。最初から、そこが狙いだったのか、それ とも後で変質したのかは分かりません。
更に、人事考課のための管理職との面談で「君は朝礼が下手だ。」と攻撃材料の 一つに使われるのでした。月に 1回ぐらいですが、何を話すかから始まって、どう 話すか、などメモを作ったりして一生懸命に話しているのに、「君は朝礼が下手だ。」 と言われるとさすがにガッカリするのでした。
しかし、良い面もありました。月に 1回ぐらい朝礼をやっておりますと、少しづつ ですが人前で話すことに慣れていくのでした。話すことが上手にはなりませんが、慣 れてはいくのです。
親戚の冠婚葬祭で話をするように頼まれたときに、話が割と好評だったりするの でした。
( 朝礼でいつも同じプロ野球球団の話をする人がいた )
ところで、朝礼で一番苦しいのは、やはり「何を話すか」です。定年になって、 朝礼から解放された今となっては、自分が話したことも他の人が話したこともほと んど忘れました。人というのは、辛かったことは忘れるようにできているのかもし れません。
しかし、記憶に残っていることもあります。ある方は、あるプロ野球球団のフアン だということでした。あまり人気のない、パッとしない球団でした。従って、その 球団の試合の内容、結果については、ほとんどの人は知らないのでした。
その方は、プロ野球のシーズン中は朝礼でいつもその球団の最近の試合結果などの 話をするのでした。うまい朝礼のやり方だなと思いました。ただし、このやり方は 本当にフアンでないとできません。本当にフアンでない場合、聞いているほうに 「本当にはフアンでない」と、分かってしまうものだからです。
しかし、意識的にプロスポーツのあまり人気のない団体を選んで応援していると、 その内に本当のフアンになれるかもしれません。自分が何かのプロスポーツの団体の フアンでありますと、当たりさわりのない朝礼のネタができて助かります。人事考課 のための管理職との面談で「君は朝礼が下手だ。」と攻撃材料の 1つにされるリスクが 減少します。
ただし、プロ野球のオフシーズンのときは、この方が何を朝礼で話していたかは忘 れてしまって覚えていません。
(了)