(続)増税時代への対策を考える(1)
日本史を通読して思う事は、日本は明治時代になって、それまでの 日本とは全く変わったということです。
江戸時代と明治時代は、まるで刀で切られたように別の世界です。 その理由は、中国の科挙が明治時代になって取入れられたことです。
高級軍人養成のための海軍兵学校、陸軍士官学校の入学試験、 そして高級官僚養成のための東大法学部の入学試験に取入れられた のです。
恐ろしいほどの記憶力と暗記の努力の試験です。そして、この日本版 科挙の弊害はたちまち対米戦争(太平洋戦争)の敗戦となって現れた のです。
新品価格 | ![]() |
その結果、300万人という途方もない犠牲を出して海軍兵学校、 陸軍士官学校は無くなりました。
「百田尚樹 日本国紀 2018年11月10日第1刷発行 2018年11月25日 第4刷発行 幻冬舎 」は言います。
「〜そしてこの戦争の主目的であったオランダ領インドネシアの 石油施設を奪うことに成功した。(中略)ところが、インドネシア からの石油などの物資を運ぶ輸送船がアメリカの潜水艦によって 次々と沈められる事態となる。それでも、海軍は輸送船の護衛など 一顧だにせず、聯合艦隊の誇る優秀な駆逐艦が護衛に付くことは一切 なかった。」(389,390頁)
ここから読み取れることは、確かに戦争の出発点はアメリカによる 石油の輸入の禁輸でしたが、中国の科挙を真似た難しい入学試験を 突破した海軍兵学校卒、陸軍士官学校卒の高級軍人達の戦争目的は 石油の輸入、確保ではなかったということです。
彼らの戦争目的は、自分たちの勢力拡大(戦線拡大)です。私が そう思うのは、高校で習った日本史地図(児玉幸多編、吉川弘文館) を取出して、よく見なおしたからです。
( 対米戦争(太平洋戦争)の戦線は広大であった)
対米戦争(太平洋戦争)戦線は、北はソ連(現 ロシア)の カムチャッカ、南はオーストラリア、東はハワイ、西はインド洋、と いう広大な地域に及んでいます。
この異様な広さを見ると、海軍兵学校卒、陸軍士官学校卒の 高級軍人達が自覚していたかは分かりませんが、彼らの戦争 目的は、自分たちの勢力拡大(戦線拡大)だったのです。
上記の「百田尚樹 日本国紀」は書きます。「〜はたして当時の日本 陸軍と海軍は、本気で戦争に勝つ気があったのだろうかとさえ思えて くる。」(197頁)
百田尚樹が、このような感想を持つのは当然です。当時の日本陸軍と 海軍の上層部である海軍兵学校卒、陸軍士官学校卒の高級軍人達は、 「戦争に勝つ」ことを目的としていたのではなく、「自分たちの 勢力拡大(戦線拡大)」を目的に戦争していたからです。
その結果、招集された沢山の兵士達は、まともな武器や食糧を持たさ れることもなく太平洋インド洋の広大な戦線に送り込まれて強力な 米軍と戦わされたのでした。そして、敗戦したのです。
これが、軍事の学校である海軍兵学校、陸軍士官学校の入学試験に 中国の科挙のやり方を取入れた結果なのでした。それでも日本が残っ たのは、招集された沢山の兵士達が、まともな武器や食糧も無い状態 で、誠実に勇敢に戦ってくれたおかげなのです。
沢山の兵士が戦死したり、負傷したりしました。彼らに心から感謝の 祈りを捧げます。そして、敗戦を機に海軍兵学校、陸軍士官学校は無 くなりました。しかし、高級官僚養成のための東大法学部は残って しまったのです。
( 「東大問題」について考える)
世には「東大問題」ということを言う人がいます。しかし私が考える に、東大問題とは法学部だけの問題です。東大の理科系の学部は何の 問題もありません。一生懸命に教育、研究をしていただいてノーベル賞 を生んでいただきたいだけです。
文科系でも文学部や経済学部など何の問題もありません。文学部は 古代から続く国文学、あるいは外国語を一生懸命に教育、研究をして いただければよいのです。
また、経済学部は欧米の経済学との競争にさらされています。いつま でも英米の経済学の骨格標本のようなスカスカ本を書いていたり、 あるいは英米では相手にされないマルクス資本論をいじくり回して 図書館のゴミ本を増やしたりしていないで、英米の経済学に匹敵する 経済学を早く構築して欲しいだけです。
結局、世間で言われる東大問題というのは法学部だけの問題なのです。 明治時代になって作られて、その入学試験は科挙方式であり、法学の 性質上、欧米との競争にさらされることもないため、世界から閉じこ もって生き続け、独善の財務省官僚を作り続けています。
彼らの行動原理は、海軍兵学校卒、陸軍士官学校卒の高級軍人の 行動原理と全く同じです。すなわち、「自分たちの勢力拡大」です。上記の 「百田尚樹 日本国紀」も言います。「大戦中の指揮官クラスは現代 の官僚に似ていると思う。いや、現代の官僚が当時の軍人に似ていると いうべきか。」(397頁)
百田尚樹がこのように書くのも無理はありません。大戦中の指揮官 クラスと現代の財務省官僚の目的は「自分たちの勢力拡大」であって 全く同じだからです。
但し、勢力拡大の対象は違います。高級軍人の対象が軍事であったのに 対し、財務省高級官僚の対象は経済です。そして、東大法学部卒の 財務省高級官僚達の「自分たちの勢力拡大」は「天下り先拡大」です。
天下り先拡大には、金(かね)が必要です。その金を彼らは増税で賄 (まかな)おうとするのです。彼らは、自分たち の天下り先拡大のために、増税によって金(かね)の調達を考えている わけです。そのため、彼らの増税への努力は限度がありません。
本来は彼らには、政府の決算書(国家財政)や国民経済の成長を考え てほしいのですが、残念ですが、そのようなことを考える能力は彼らには 無いのです。
私は東大法学部の会社法の教科書を読んだことがあります。そこでは、 著者の東大法学部教授が「会社の計算」の基礎である複式簿記を学生 に教えるのに苦労しているのでした。学生が複式簿記を勉強しないため、 会社法の「会社の計算」をいくら教えても学生は理解できないという のです。
これでは、東大法学部卒の財務省官僚は、政府の決算書(国家財政)を 読むことができません。政府の決算書(国家財政)は会社の決算書の 作成方法を応用して作成されているからです。東大法学部は、学問の 場としては終わっているのです。
これが、かって、あの「貸借対照表法の論理」を著した田中耕太郎博士が 教鞭を取っていた東大法学部なのかと愕然としました。東大法学部と いう名称は同じですが、現在の東大法学部は激しく劣化し、ただの 財務省官僚養成学校になったのです。
東大法学部は、学問の場としては耐用年数を終えて死んだのです。 残念ですが、東大法学部卒の財務省官僚の視野に政府の決算書(国家財政) や国民経済の成長は入ってきません。彼らには、自分たちの勢力拡大 (天下り先拡大)のための増税の熱情だけが燃えさかっています。
(次頁へ続く)