イギリスと日本を考える(2止)
(前頁より続く)
幣原喜重郎のワシントン会議全権大使に続いて、駐米大使野村吉三郎も 致命傷の大きな人事ミスです。この人事ミスによって、駐米日本大使館員たちが 開戦前夜の緊張感を持つことができず、当番も置かずに全員で送別会の宴会に 行ってしまい、日本から指定されたアメリカへの宣戦布告をT時間遅れると いう取返しのつかない重大な失敗をやったのです。
駐米大使野村吉三郎はアメリカ国務長官コーデル・ハルを 相手に英語が できるフリをしていただけですから、野村吉三郎は「今日の交渉はこう いうことであった。」と部下の大使館員 に適当なことを話していたわけ です。なにしろ、交渉相手のアメリカ国務 長官コーデル・ハルに英語が 通じないのに通訳を拒否して英語ができる フリばかりしているのですから どうしようもありません。
そして、三番目の人事ミスは、山本五十六聯合艦隊司令長官です。 対米戦争 (太平洋戦争)の山本五十六に ついては、連合艦隊司令長官に 選ばれた理由は海軍兵学校の 卒業年次 と成績以外考えられません。 山本は海軍兵学校で学業優秀でありました。
山本は連合艦隊司令長官に選ばれたとき「1年ぐらいは暴れてみせま しょう。しかし、その後のことは分かりません。」と言いました。 そして、アメリカと戦うことに反対していたのに、周囲の大反対を押し 切って真珠湾への先制攻撃をかけます。
そして、自分は戦場に立つことはせずに真珠湾攻撃の戦場の指揮を 南雲忠一第一航空艦隊司令長官にまかせます。まかされた南雲は、軍艦 を沈めるだけで満足し、目の前の燃料庫を攻撃しないという何とも 中途半端な攻撃をして帰ってきてしまいます。燃料庫を攻撃して 燃やしてしまえば、アメリカの空母は、かなりの期間、動けなかったの です。山口多聞第二航空艦隊司令長官が、そのように進言したのに、 無能な南雲は却下してしまい、誠に残念なことでした。
それにしても、一体、なぜ山本五十六連合艦隊司令長官は、わけの分 からない言動を続けたのでしょうか。 私が色々と考えるに、山本には 本人も自覚していない深層心理に戦場への恐怖心があったのです。
山本は若かった時、対露戦争(日露戦争)で重傷を負いました。軍医が、 山本の命を助けるために左腕を切り落とさなければならないと言うほど の重傷でした。山本は「腕がなくては軍人は勤まらない」と軍医の意見 を断り、気力で腕を切り落とさずに重傷から回復します。
しかし、誠に気の毒なことですが、若い時にこのような厳しい気の毒 な体験をした 山本には本人も自覚しない深層心理に戦場への恐怖心が 残ったのです。軍人ですから、そのような恐怖心は勇気を振るって 自分で押し殺した と思うのですが、軍人も人間ですから心のどこかに 本人も自覚できな い戦場への恐怖心が残ります。
この戦場への深層心理下の恐怖心が山本の判断を狂わせたのです。 これは、山本が悪いのではなく、山本を連合艦隊司令長官に選んだ人間 が悪いのです。人事のミスです。
対露戦争(日露戦争)の時、海軍は連合艦隊司令長官に東郷平八郎を 選びました。その理由は、「東郷は 運が強い。戦争で負傷したことが 無い。」ということでした。東郷平八郎を連合艦隊司令長官に選んだ人 は、人間の深層心理を深く考える人だったのです。
山本は軍人です。連合艦隊司令長官に選ばれれば辞退はありえません。 明らかな致命的な人事ミスです。山本は、真珠湾を攻撃してアメリカに 大きなダメージを与えてアメリカ人の戦意をくじき、一気に日本有利の 講和に持ち込もうとしました。
しかし、アメリカ人は山本が考えるようなヤワな民族ではありません。 考えてもみてください。400年ぐらい前、諸事情でイギリスで食え なくなった人たちが危険を冒して広い大西洋を粗末な船で渡り、 何とかアメリカ大陸にたどり着き、そして、自分たちに食べ物を与えて 助けてくれたインディアンを、さほどの時間を置かずに、ほぼ全滅させ た民族です。
真珠湾を攻撃されて、戦意をくじかれるような民族ではありません。 山本は、歴史の年表でアメリカの建国の年を暗記して記憶し、学校の 試験では良い点を取ったのでしょうが、建国の事情に想像力が及ばないの です。山本は、真珠湾を先制攻撃して、意図とは反対に、アメリカ人の 戦意に激しく火をつけてしまいます。更に、野村吉三郎が英語ができる フリをして、宣戦布告を1時間遅れるという大失敗をやって、山本 がつけたアメリカ人の戦意の火にガソリンをぶちまけてしまったのです。
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「百田尚樹 日本国紀」は、当時の日本軍の人事について次のように 言います。「信賞必罰ではなく、出世は 陸軍士官学校と海軍兵学校 (および陸軍大学校と海軍大学校)の 卒業年次と成績で決められて いたのだ。個々人の能力はほとんど考慮されない。いくら能力が高く ても、上の人間を追い越すことはできない。士官学校や兵学校の成績 というのはほとんどペーパーテスト。つまり答えが決まっている問題 を解く能力が問われるにすぎない。だが、実際の戦場には答えがない。 前例のない問題が常に繰り出されるような状態、つまりペーパーテスト に強いマニュアル人間が最も苦手とする分野である。この頃の軍人は 戊辰戦争や西南戦争を経験していた日清戦争や日露戦争 の司令官 クラスとはまるで違っていたのだ。」397頁。
国運を決する大戦争なのに、卒業した学校の 卒業年次と成績で 連合艦隊司令長官を選ぶようなことは決してやってはいけなかったの です。ワシントン会議全権大使幣原喜重郎、駐米大使野村吉三郎、 聯合艦隊司令長官山本五十六は、三人とも百田尚樹が言う ペーパーテストに強いマニュアル人間でした。つまり答えが決まって いる問題を解く能力は、三人とも抜群でしたが、前例のない問題が 常に繰り出される実際の外交や戦場では、三人とも無能なのでした。
このような致命傷の人事ミスを重ねて、日本は300万人という途方 もない犠牲者を出して対米戦争(太平洋戦争)で自滅して敗戦を迎え たのです。
こうして見てくると、幣原喜重郎、野村吉三郎、山本五十六の三人が 受けた、東大法学部、海軍兵学校の教育内容がダメなのです。
私は、海軍兵学校の教育を受けた木田元中央大学教授の対談本を 読んだことがあります。木田教授によると海軍兵学校では、数学の 問題解きが重視されていたというのです。数学の問題解きというのは 学問としての数学とは異質のものであり、テレビのクイズ番組 と同質であって、人間の知性を深めるものではありません。
百田尚樹が言う「答えが決まっている問題を解く能力が問われる」の 「答えが決まっている問題」とは、テレビのクイズ番組と同質の 「数学の問題解き」のことです。
東大法学部卒の幣原喜重郎には知性がありません。アメリカの手の平で 転がされて、日英同盟を破棄してしまいます。野村吉三郎は英語が できるフリばかりしています。海軍兵学校の英語教育は粗末でした。 山本五十六は、アメリカ史を知りません。海軍兵学校の歴史教育は、 年表を暗記するだけのものだったのです。東大法学部、海軍兵学校 の教育がダメなのです。
そして、幣原喜重郎、野村吉三郎、山本五十六のような人たちを 重用して、日本は惨めに自滅したのでした。対米戦争(太平洋戦争) に負けて、海軍兵学校と陸軍士官学校は無くなりました。しかし、 東大法学部は残って、現在も幣原喜重郎のような人間を生み出し続け ています。
( 財務省官僚は幣原喜重郎の「愚」を共有する)
彼らは財務省に入って、ひたすら増税します。ついに、消費税は 10%になりました。残念ながら、彼らによって日本の経済は破滅して います。現代の科挙である東大法学部入学試験を通った彼らは、 エリート官僚であり20代で税務署長になるなど、スピード出世し ます。そして、東大法学部の先輩幣原喜重郎の「愚」を共有しています。 彼らによる日本経済の破滅の流れは誰も止められません。
幣原喜重郎は、アメリカの策略に簡単に転がされました。幣原と 同じように知性の無い東大法学部卒の財務省官僚による経済破滅の 被害をできるだけ避けるように、私たち国民は、1人1人が、 自分の生き方を考えなければなりません。厳しい時代になったのです。
(了)[追記]
鳩山由紀夫元首相が、9月24日、韓国で講演し「日本が無限責任の 姿勢を持てば両国の問題が解決可能だとの見解を示した。」という 報道がされています。両国とは、日本と韓国です。
鳩山由紀夫元首相は、3年前に、やはり韓国で講演し「戦争で敗れた国 は相手がこれ以上謝る必要がないと言うくらい、相手に気持ちが伝わる まで繰返し申し訳ないという気持ちで「無限責任論」を持たなければ ならない」と発言したと報道されています。
鳩山由紀夫元首相は、なぜ、ここまでおかしな発言をするのでしょうか。 私が色々考えるに、現代の科挙と言われる東大入学試験のための過酷な 記憶力重視の暗記勉強によって、知性の部分が破壊されているためなの です。
鳩山由紀夫元首相の知性の破壊は、東大の先輩であるワシントン会議 全権大使幣原喜重郎よりも重傷で深刻です。東大入学試験の記憶力重視の 暗記勉強の過酷さが増しているのです。
鳩山由紀夫元首相の発言によって国民は大変な被害を受けます。しかし、 鳩山由紀夫を首相にしたのは、我々国民であり、私たちは二度と東大卒 の鳩山由紀夫のような人間を選挙で選ばないように深く反省しなければ なりません。

