イギリスという国を考える
イギリスのエリザベス女王が天寿をまっとうされてお亡くなりになり ました。謹んでお悔やみ申し上げます。
日本人は誰もが義務教育で英語を習います。そのため、英語の母国 イギリスは日本人にとって特別の国です。見渡す限り、田んぼと畑 だけの草深い地方に生まれ育った私も、中学生になると、英語の授業 が始まったのでした。
田舎の中学生であった私には英語はチンプンカンプンの言葉でした。 今から思いますと、中学生になった頃は、英語どころか、自分の言葉 である方言と学校で習う標準語の違いに混乱していたのでした。
近くに生活用品を売っている小さな雑貨店があり、私は毎朝のように 朝早く朝食のための納豆を買いに行っていました。時には、家で収穫 した豆を持って、お金の代わりに豆を店の人に渡すのです。物々交換 です。
途中の鍛冶屋のおじさんが「今日も納豆か」と、からかってくるので した。社会性の発達がやや遅れていた私は、からかわれていることを 感じ取れずに、「うん」と元気よく返事をしてズンズン店に急ぐので した。
私は、店に着くと、店の人に「買います」と方言で声をかけていました。 ところが、学校では、店では「ごめんください」と声をかけるのです、 と教えられるのでした。私は、方言と標準語と、どちらを言えば いいのか分からなくなってしまったのです。
私はどちらかといえば、おしゃべりで、「余計なことを言うな」と 家で怒られたりしていたのですが、方言と標準語の間に落ちてしま って、どっちを話せばいいのか分からなくなり、私の会話力は激減 してしまいました。
今でしたら、しばらく前、コマーシャルで流れていた「どっちもー」 となるのですが、どっぷりと田舎の子供だった私はどっちが正しいのか、 考えてしまうのでした。
こんな状況で、中学生になり英語が始まったのです。私の言語は方言、 標準語、そして、何だかよく分からない英語が加わって、言語混乱は 増すばかりでした。
学校の英語の先生も混乱していました。A先生は、notという否定の英語 を「ノッツ」と発音するのでした。しかし、別のB先生は「ナッツ」と 発音するのでした。
A先生の授業の時間に、頭の良い社会性のある生徒が、「B先生は 「ナッツ」と発音しました」と発言しました。A先生は、 「えっ、ナッツ」と絶句してしまいました。
今から思いますと、「ノッツ」は英語の母国のイギリス発音で、 「ナッツ」はアメリカ発音、つまり、アメリカの方言発音というだけ のことでした。つまり、これも「どっちもー」の世界でした。
しかしながら、田舎中学の英語教師 A先生は、「えっ、ナッツ」と 絶句するだけで、アメリカ方言の説明もなく、アメリカ方言の存在 そのものを知らないようでした。先生達が、このレベルです。私は 英語の混乱以前に、何も分からずにボンヤリとしているだけでした。
高校2年生になって、私は優秀で熱心な英語の先生に出会って救われ たのでした。その先生は、英語が何も分からなくて困っていた私に、 八品詞五文型によって英文を分解して読むことを教えてくれたので した。
それから、英和辞典を調べて単語を覚えるように指導してくれました。 私は、それまで英和辞典の使い方さえ知らないのでした。こうして、 なんとか学校の英語に対応できるようになったのです。
高校を出て、私は生きるための仕事を求めて上京し、仕事をしながら 大学の経済学部で学びました。方言と標準語の間に落ちてしまって 会話力が激減していた問題は、仕事を求めて上京することで標準語 だけの世界になり、自動的に解消しました。
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そして、随分後年になって、優れた英語学者であるとともに卓越した 英語教師である渡部昇一上智大学教授の「英語の歴史」を読んで、 「英語は元来は北ドイツの二、三の部族が使っていたゲルマン語の 方言であった。」(まえがき)ということを教えられたのでした。 「なーんだ、英語は方言だったのか」と思いました。こうして、私は 英語への恐怖心から解放されたのです。
( イギリス国教会成立の事情について)
ヨーロッパといえば、キリスト教の話を欠かすことはできません。 イギリスのキリスト教の教会はイギリス国教会です。観光案内に、 よく大きく立派な教会が紹介されますが、イギリス国教会がどの ような教会なのかは、あまり知られていません。
私もキリスト教については本で読んだ以上のことは分からないの ですが、まず、カトリック教会があります。世界史年表を見ますと 400年頃に成立します。
カトリック教会には、教皇がおられて、教義として三位一体説 (神とキリストと聖霊は一体であるという説)があります。そして、 聖母マリアへの崇拝があります。
1500年頃、カトリック教会の信者であったルターが、 「救いは信仰のみによる」と言ってカトリック教会を否定し、 プロテスタントが成立します。その後、カトリックと プロテスタントは、激しい宗教戦争をひきおこしたのでした。
ルターによって宗教改革(キリスト教分裂)があった頃、イギリス ではイギリス国教会が成立します。当時の国王が若い女性と結婚 するため、奥さんと離婚したいとローマ教皇に申請したところ、 当然のことながら、ローマ教皇は「そんな離婚は認めない」と 言ったのです。そうしたところ、国王は「それじゃ、イギリスは カトリック教会を離れて、イギリス国教会を作って、そこに自分の 離婚を認めてもらいます。」と言って作ったのがイギリス国教会です。
イギリス国教会の成立は国王の個人的な欲望が出発点になっていて、 おおっぴらに話せることではありません。そのため、高校教科書で ある 「詳説世界史(再訂版)著作者東京大学名誉教授村川堅太郎他 3名 1987年3月5日発行 山川出版社」では、「イギリスでも テユーダー朝のもとで宗教改革がおこなわれたが、−(中略)− 政治的な動機からはじまった。」(169頁)と書いています。
国王の個人的な欲望が出発点になっているため、イギリスに遠慮 してこのような表現にしているのでしょうが、国王の個人的な欲望を 「宗教改革」とか「政治的な動機」と記述されても高校生は何の ことか分からずに困ってしまいます。
( 教科書には嘘も書かれている)
東大を目指す高校生は、歴史の教科書を1字1句、すべて暗記して 記憶するという話ですから、昔のイギリス国王の「若い女性と結婚 したいので奥さんと離婚したいという動機」を「政治的な動機」 とか、「宗教改革」とか記述するのは、いくら何でも良くありま せん。
東京大学名誉教授ともあろう方が、このように、あきらかな嘘を 書くのは、イギリスのことが大好きだからなのか、よく分かりません が、教科書は正しく書かなければなりません。
東大卒の官僚や政治家が、国際社会でピントのずれた言動をして国民が 大変な迷惑、大きな被害を受けることがあります。これは、東大受験の 時にイギリス国教会の成立の理由を、「宗教改革」とか「政治的な動機」 とか、こうした教科書の嘘の1字1句を徹底的に暗記し記憶している からです。
これでは、まともな外交ができるわけがありません。現在の林芳正 外務大臣もピントのずれた言動をして、インターネットの中では、 随分心配されています。
インターネットの中では、ハニートラップ(外国に女性を当てがわれて 行為中の映像を撮られること、過去には橋本龍太郎首相が有名です。) にあっているのではないか、という話もありますが、東大受験の時に 徹底的に暗記し記憶した教科書の嘘の1字1句によって頭の中が おかしな構造になっているのです。
こうして、イギリス国教会がカトリック教会から分れた動機は宗教上の 教義ではなく、国王の個人的な欲望ですので儀式などは カトリック教会とほとんど同じです。ルターの宗教改革 (キリスト教分裂)とは全然別の話です。
このたび、エリザベス女王が天寿をまっとうされてお亡くなりになり、 チャールズ皇太子が後を継いで国王になられました。チャールズは、 皇太子時代にダイアナ妃と結婚されました。この時、既にチャールズ はカミーラ夫人と交際があったという話があります。
その後、誰でも知っているようにチャールズは、子供が二人も いるのにダイアナ妃と離婚し、カミーラ夫人と再婚したのです。 その後、不幸にもダイアナ妃は事故死しました。
今度、国王になったチャールズの側(そば)にはカミーラ夫人が います。この二人を見ると、どうしても、あの不幸なダイアナ妃の ことを思い出してしまいます。
イギリスのエリザベス女王が天寿をまっとうされてお亡くなりに なり、今月、国葬が行われます。私は、英語の勉強、 イギリス国教会、チャールズ皇太子の結婚・再婚、悲劇の ダイアナ妃、など、イギリスの色々な事が思い出されたのでした。
(了)