消費税10%時代を生きるー新聞をやめる(2止)ー
(前頁より続きます)
そして、自分で独自に作った購読契約票を作って使っていました。その 購読契約票には「この購読契約票に印を押していただいて新聞を購読し ていただきましたら、販売手数料の一部が苦学している学生に払われま す。」と印刷されているのでした。
彼の仕事のツールは、黒の詰め襟の学生服と独自の購読契約票でした。 この二つで、苦学している学生に同情したお客様から契約を取るのでした。
しかし、当時の大学生は私も含め多くの大学生が黒の詰め襟の学生服を 持っていましたが、真似する人はいませんでした。
そして、その黒の詰め襟の学生服と独自の購読契約票の大学生は、大学 を卒業すると、ある新聞社に就職したのでした。話をしてみると、その 新聞社の給料は彼のこれまでのアルバイト販売営業員としての収入より ずっと低いのでした。
私は彼に「収入が減るのに、なぜ今の仕事を辞めて新聞社に就職するん ですか。」と聞きました。彼は「確かに沢山の金を稼げるけど、今の仕事 は将来、自分の子供に話せる仕事じゃないと思うんだ。それで、収入は 低くなるけど新聞社の正社員に就職することにしたんだ。」と言うので した。
堅実なものだと思いましたが、彼のように学生時代に多額の収入を稼いで いた人が新聞社の正社員という給料取りになって勤まるのかどうか、その 後どうなったかは全く分かりませんが、私は若い大学生時代に「こういう 人もいるんだなあ」という体験をしたのでした。
( 団地の引越しに動員されたのだった)
それから、その頃は団地というそれまでに無かった住宅が出来てきたので した。新しい団地が出来ると、多くの世帯が日曜日などに一斉に引っ越し てくるのでした。
その時は動員がかけられて、販売店の皆で団地に行って引越し荷物の片付 けなどを手伝い、見返りに新聞購読の契約をもらうのでした。当然、 ライバルの新聞販売店も来ていますので、新聞購読の契約を取り合って トラブルが発生することがありました。
私のように動員をかけられたアルバイトの大学生はあまり熱心ではあり ませんでしたが、新聞販売店の専従従業員は生活がかかっていますので、 熱心なあまり最後にはライバルの新聞販売店の従業員と殴り合ったりする のでした。引越して来た団地の住民にとっては迷惑なことであったろうと 思います。
現在は、このような団地から住民がどんどん居なくなってゴーストタウンと 化しているということが報道されています。あれから長い時間が経ったのだと あらためて思わされます。
このように色々な、どちらかというと辛い体験をした新聞販売店ですが、 貧しかった私は学費を稼ぐことができたのでした。
( 惰性で新聞を取っていられる時代ではなくなった )
つい長々と、若いときの新聞に関する思い出を話してしまいました。 歳(とし)を取って老人になりますと先が無くなってくるからでしょうか、 老(お)いの繰り言のような思い出話が自然に出て来てしまうものです。
さて、本題の「消費税10%時代を生きるー新聞をやめるー」に 戻りましょう。私は、会社を定年になってから事情があって家を引越した ことを機会に、新聞を取るのを止(や)めておいて良かったと思っています。
まさか消費税が10%になるなんて思っていたわけではありませんが、 生活にかかる消費税がとても大きな時代になってしまいました。私の ような年金生活者が惰性で新聞を取っていられる時代ではなくなって しまったのです。
庶民層か、あるいは貧困層に属する私は、生活防衛のためには、見栄を 張らずに節約のために出来ることは何でもやらなければならない時代に なったわけです。
税の目的は考えずに、消費税の税率を上げること自体を目標にして夢中 になって働き、疲れ果てて病気になり亡くなってしまった財務省官僚の ことは、「(雑記)消費税の税率10%へのアップに身構える(1) (2止)」に書きました。
財務省内での自分の出世を目指して、増税自体を目的化して文字通りに 命を懸けて働くという財務省の「優秀」なエリート官僚のために、私の 晩年がこんな重税時代になるとは若かった頃は夢にも思いませんでした。
( 消費税は化け物のようになった )
今から30年前3%という低い税率でソロリと始まった消費税は、30年 経って、税率10%という消費に対する罰金としか言いようのない、手のつけられない 化け物のような恐ろしい税率になり、庶民層・貧困層の国民を重税で覆い尽くして、 どこまでも締めつけてくるわけです。
財務省官僚はあまりにも「優秀」でその力を止めることは誰にとっても不可能です。 安倍政権も消費税の税率アップに対する抵抗をあきらめたようです。だからといって、 民主党系の政権になれば、あまりにも無能な政権のため、財務省官僚は更にやりたい 放題になって、消費税の税率アップも一層加速してしまうことが、前回の民主党 政権でイヤになるほど分からされました。
定年退職者が過去からの惰性で、朝のんびりと郵便受けから新聞を取り出して、 お茶など飲みながら読んでいられる時代ではなくなってしまったのです。
辛いことですが、生きるために会社員時代の厳しい目で自分の生活コストを徹底的に
見直さなければなりません。これからは、食費のように健康に直結する部分は質の
良いものにしっかりお金をかけて健康を守り、新聞のようにインターネットで代替
できるものは厳しくコストカットしていくしかありません。定年退職者にとって、冷たい
寒風が吹く冬のような厳しい環境になりました。
(了)