(2019/1/1)

消費税の税率10%へのアップに身構える(2止)

(前頁より続きます)

唐突かもしれませんが、大きくなった消費税を考えていると、私は、戦艦大和の ことを考えてしまうのです。戦艦大和は、誰でもご存じのように、アメリカとの 戦争の時に作られました。

当時、世界最大の戦艦であり、当然のことですが、莫大な財政資金を使って作 られたわけです。しかしながら、戦場の実戦で有効に使われることは無く、 戦争が完全に負け戦(いくさ)になってから、沖縄に上陸するアメリカ軍を迎え 撃つために沖縄に向かっている途中でアメリカ軍の戦闘機に群がられて凄(すさ) まじいまでの攻撃を受け海中に沈められたのでした。

その時、群がってくるアメリカの戦闘機を相手に全力で勇戦して戦死していった 戦艦大和の兵士の方達を思うと本当に気の毒で可哀想です。その激闘を本で読み ますと、どれほど悲しんでも、悲しみ足りない思いがします。

( 戦闘機の時代に戦艦大和に勝ち目は無かった )

既に戦いは戦闘機の時代でした。その時代に戦闘機に守られていない戦艦は、 どんなに大きくても、兵士がどんなに勇敢に奮戦しても、群がって攻撃して来る 戦闘機に対して勝ち目は無いのでした。そして、戦艦大和は、戦闘機から放 (はな)たれた爆弾や魚雷によって、あちらこちらが大きく破壊されて燃え上がり 海底に沈んでいったのです。

戦艦大和の写真を見ていると、この戦艦を作るために大きな予算を確保したり、 戦艦を作るメーカーとの厳しい交渉など、担当の官僚が情熱を傾けて、それこそ 日夜寝食を忘れて命を削る思いで懸命の仕事をした事が想像されます。

しかし、この官僚の頭には、戦争に勝つために戦艦大和をどのように使うかと いうことは無かったのでしょう。そして、完成した戦艦大和を見て、達成感の 感激で胸が一杯だったのでしょう。

山本五十六連合艦隊司令長官も戦艦大和に深く満足したことでしょう。戦争の 始めから弾が飛び交う戦場に出ることの無かった山本五十六連合艦隊司令長官は、 戦艦大和が完成してからも、やはり戦場に出ること無く、この大きな戦艦にずっと 快適に寝泊まりしていたということを本で読んだことがあります。

そして、ミッドウェー海戦で大敗北して負け戦(いくさ)が決まった後になって、 戦場の前線視察ということで、敵の制空権の中を飛行機で飛び、打ち落とされて 亡くなったのでした。

この時、敵の制空権の中を飛べという山本五十六連合艦隊司令長官の指示に 従って長官に同行して戦死していった兵士は本当に気の毒です。敵の制空権の 中を飛ぶのですから打ち落とされることは分かっていたことでしょう。気の毒で 哀れと言うしかありません。

( 目的を考えない「優秀」な官僚は困った存在だ )

本題の消費税を離れて、長々と、戦艦大和のことを書いてしまいました。それは、 戦艦大和を作るために一生懸命に働いた官僚と消費税の税率を上げるために命を 削って働いて病死した上記の元財務次官 K氏が、私の中では重なるからなのです。

目的を考えずに、あるいは目的を忘れて、ひたすらに世界最大の戦艦を作ること に夢中な官僚、国民生活を考えずに消費税の税率アップに文字通り死ぬほど 夢中な官僚、どちらも一生懸命に仕事をしているわけです。

しかし、目的を考えてくれないと国民は本当に困ってしまいます。官僚は「優秀」 なだけに目的を考えずに突っ走られると手がつけられません。

財務省は「国の借金が大きくなったので消費税の税率アップが必要です。」と定期的に 新聞、テレビを通して国民に語りかけます。しかし、この場合「国」というのは 政府なわけで、政府の貸借対照表を説明してもらわなければならないのですが、 財務省は貸借対照表の勘定科目の1つである借入金の話だけを毎回しているわけです。

もしかしたら財務省の官僚は政府の貸借対照表が読めないのかもしれません。政府 の貸借対照表を読むためには、会計の基礎を勉強しなければならないからです。 あるいは実は会計の勉強をして政府の貸借対照表は読めるのだけれども、 財務省官僚の出世の手段としての消費税の税率アップのために意図的に借入金の 部分だけを取上げているのかもしれません。

どちらなのかは分かりませんが、いずれにしましても、上記の元財務次官 K氏の命 を削った熱情の働きによって今年10月には消費税の税率は、とうとう10%と いう二桁の大台に乗るわけです。

( 消費税10%に締め上げられた経済は元には戻らない )

私は若かった時、何かの本で「破断界」という言葉を読んだ記憶があります。 「金属を曲げていくと、あるところまでは、力を抜くと元に戻る。しかし、 ある一定の所を過ぎて曲げると力を抜いても元には戻らない」という意味で あったと記憶しています。

消費税の税率10%は破断界を過ぎた税率でしょう。消費税の税率10%に締め 上げられた日本経済は、もはや元には戻りません。

私のような年金生活の国民は、消費するときは、物を買う前によくよく考えて 「本当に生きるのに必要なものかどうか」ギリギリの熟考を重ねなければならなく なったわけです。

今年からは消費をすれば10%の消費税という消費に対する罰金のような税を取ら れるわけです。富裕層以外の一般国民は大節約をせざるを得ません。

( 賢い消費者を目指して勉強しなければならない )

私は50年前の昔、大学の経済学部で「合成の誤謬(ごびゅう)」ということを習ったのでした。 合成の誤謬とは、「一人一人が消費を節約するという個人の合理的な行動は、 国民経済という全体を不況にしてしまう」という矛盾を言うのです。

しかしこれからは、一般国民は「合成の誤謬」などという経済学の原理を考えたり する余裕はどこにも無くなるのです。

10%の消費税に締め上げられて窒息しそうになる一般国民を見て上記の「優秀」な元財務次官 K氏はあの世から何を思うでしょうか。大満足するのでしょうか、それとも少しは 後悔するのでしょうか。

いずれにしましても、年金生活者の私は消費税10%時代を生きていくために、賢い 消費者になることを目指して、改めて一生懸命に勉強しなければなりません。

(了)