(2017/8/1)

内閣支持率の調査会社と調査方法

私は会社を定年になってから、時間ができてテレビやインターネットを 見る時間が増えたのでした。そうしますと、会社で忙しく働いていた時 よりも自然に社会の情報が沢山入ってきます。

インターネットのヤフーニュースに「内閣支持率が急落しました」、と 報道されています。報道元(もと)は、J 通信社です。

私は、ふと J 通信社というのはどういう会社なのだろう、と思いました。 J 通信社が発行した新聞は見たことがありません。また、J 通信社が どのようにして内閣支持率を調べているのだろうかということにも興味 を持ちました。

( 内閣支持率の調査会社を調べてみる )

J 通信社のホームページの会社案内を見ますと次のようになっていました。


    社名      株式会社 J 通信社 

    従業員数  8百人(百人未満切捨)

    創業      1945年 

   資本金    4億円 (億円未満切捨)

    本社      東京都

そして、社長メッセージのところで会社の業務内容が次のように紹介され ていました。

 「新聞社や放送局にニュースを配信する報道機関であると同時に、 金融機関や企業に経済専門情報を提供し、省庁や地方自治体には行政の 専門ニュースを届けています。最近はポータルサイトやキュレーションを 通じて、個人向けにニュースや映像を提供するデジタル分野のサービス にも取り組んでいます。」

キュレーションとは聞き慣れない言葉ですが、ネットで調べたところ 「インターネット上の情報を収集し、まとめること。また、そのように して収集した情報を分類して、つなぎ合わせ新しい価値を持たせて共有 すること」、となっていました。

資本金や従業員数からしますと特に大企業というわけでもありません。 しかし、創業以来70年超の歴史を有し、「新聞社や放送局にニュースを 配信する報道機関である」、というところからしますと社会に大きな影響力 を持っていることが窺(うかが)えます。なお、株主が誰であるかは開示 されていません。

次に財務諸表を見てみました。

直近の貸借対照表(2017年3月31日現在)の概要

                         (単位:億円、単位未満切捨)

 流動資産                101 億円 
 固定資産                 311
 資産合計                 413

 流動負債                  38
 固定負債                 138
 負債合計                 177

 資本金                   4
 資本剰余金               0
  利益剰余金           231
 純資産合計             236

 負債及び純資産合計         413

損益計算書は開示されていませんが、当期純利益は貸借対照表の注記として、 25億円となっています。

流動資産101億円を流動負債38億円で割った流動比率は何と265%です。 財務的には、間違いなく超優良企業です。

( 内閣支持率の調査方法はどのようになっているのか )

次に、 J 通信社のホームページによると、内閣支持率などの調査方法は次の ようになっています。

「全国の市町村において、調査員による個別面接方式で実施され、国民の 意識動向を探る上で、他機関には見られない貴重な資料として、政党、官公庁、 教育機関、在日各国公館などから、高い評価を受けています。」

( 調査の概要 )
調査地域:全国の市町村、 調査対象:満20歳以上の男女
標本数 :2,000、 抽出方法:層化副次(2段)無作為抽出法
調査方法:調査員による個別面接聴取法
実施期間:前月の上旬4日間

抽出方法の「層化副次(2段)無作為抽出法」とは、難しい表現ですが、 ネットで調べてみますと 「調査地点を広くとり、はじめに市町村などを 無作為抽出し、次に個人を無作為抽出し、と、2段構えで無作為に抽出して 調査する」、ということです。

これを見ますと、調査員の方(かた)が個人の家を訪ねて、質問し調査 しているようです。この調査方法ですと、普段、家に居られる方が調査を 受けることになります。つまり、日常、会社で忙しく働いている会社員の 意見は調査結果にはほとんど反映されていない、ということになります。

主婦の方(かた)や、定年退職して仕事が無くて家でテレビを見ている方 などの意見が強く反映されることになります。

随分と偏(かたよ)った内容の調査結果になりそうです。こうして集計された 調査結果が内閣支持率などの数字になって、新聞社、テレビ局、ヤフーなどに ニュースとして売られて、我々に届いているわけです。

そして、こうしたやり方で新聞社や放送局などから報道される内閣支持率の 数字が実際の政治を強く動かしています。

テレビのワイドショウでは、司会の方やコメンテーター(元プロスポーツ選手 とか俳優といった方たち)の方たちが内閣支持率を何か重大な数値として 話し合い、視聴者に語りかけてきます。

私は定年前は仕事で忙しくて、テレビや新聞で発表される内閣支持率の数字が どのようにして調査されているのか、関心を持つ余裕が無いのでした。

( 会社員の意見は内閣支持率にほとんど反映されていない )

そして、定年後になって、新聞やテレビで報道される内閣支持率の数字が 「 会社で忙しく働いている会社員の意見は調査結果にはほとんど反映されず、 いつも家で家事をしている主婦の方や、定年退職して家でテレビばかりを見て いる方の意見が強く反映している 」、ということを初めて知ったのです。

J 通信社の内閣支持率は選挙とは全く別物です。政治家を選ぶ選挙は日曜日と いう休日に実施されますので、会社員を含めた国民全員の意思が反映されます。 これは民主的な制度です。

しかし、J 通信社の内閣支持率は、いつも家にいる主婦の方や定年退職者の 意見ばかりが反映し、毎日忙しく働いている会社員の意見はほとんど反映され ません。それなのに、J 通信社の内閣支持率は政治に大きな影響力を持ってい ます。

内閣支持率の調査会社と調査方法を勉強してみたところ、随分と偏っていると 考えられる調査数字が、新聞やテレビを通して現実の政治を大きく動かしている ことを知ったのでした。

(了)