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選挙公報を配る(4)-歴史教科書を考える-
前回は、O(オー)氏が T大教授 E氏の騎馬民族征服王朝説に言及した話をしました。
O(オー)氏は創立者が一万円札の肖像になっている有名な K大出身ですが、実は T大に 入りたくて 2年間も浪人したというのです。
その 2年間、O(オー)氏は T大に合格しようとして、本当に一生懸命に受験勉強したことで しょう。
歴史については、入学を熱望していた T大の教授 E氏の騎馬民族征服王朝説も熱心に頭に 刻み込む努力をしたでしょう。何といっても、 その頃 E氏は T大の歴史の入学試験問題を 作る 現役の T大教授なのです。
O(オー)氏が外国で、E氏の騎馬民族征服王朝説に言及したのは、厳しい大学 受験生時代に勉強した E氏の騎馬民族征服王朝説を、60代後半というやや高齢の 政治家になってからも、歴史の知識として頭に刻み込まれていて、その知識に言及し たのではないでしょうか。
( 社会人は仕事で多忙を極める )
政治家のように社会的地位の高い方ほど、学校を終えて社会に出たら、仕事で多忙を 極めて、本を読んでいる時間は無いでしょう。
学校時代や予備校生時代に、T大に入りたい一心で一生懸命に死にものぐるいで勉強した 知識がそのままに、深く強く大切に記憶されていたと思われます。
しかし、O(オー)氏の頭に刻み込まれたであろう、その T大教授 E氏の騎馬民族征服 王朝説は、前回のように、若い学者の方のたった1つの簡単な質問で完全に論破され てしまうような、何というか、お粗末としか言えない説なのでした。何という悲劇で あり同時に喜劇です!
ヨーロッパ史の中世を読み終えて、私は上記の高校世界史教科書のヨーロッパ史部分 を読むのを終わりにしました。歴史辞典から歴史用語を拾って、その用語を繋(つな) ぎあわせたような文章を読むのに疲れて読み進めなくなったからです。
( 自発的な苦しい読書体験を通して学んだこと )
そして、次に同じ高校世界史教科書の東アジア史の中世部分を読みました。 ヨーロッパ史の中世部分を読むのと同じ疲労感をもって読みました。この自発的に試 みた苦しい読書体験を通して私は、いくつかのこと(次の1,2,3)を学びました。
1、熟練の予備校講師が、歴史を上手にストーリー化したり、歴史の年代の語呂合わ せによって、受験生の記憶を助けてくれるとしても、歴史辞典から歴史用語を拾って、 その用語を繋(つな)ぎあわせたような文章を読んで頭にたたき込むのは、優秀な 受験生であっても難行苦行であることでしょう。
18,19歳の若い時に、このような苦行に耐えて T大や T大に準ずる大学に入学 した人の歴史観は、その苦行により得た知識の歴史観に生涯、縛られる危険が大きい と考えられます。
2、ヨーロッパ史の中世も東アジア史の中世も、民族間の戦いの連続であり、その 勝敗によって、民族は興亡し支配者が入れ替わり、地域が安定している時代は無いに 等しいのでした。
日本は、今も極度に不安定な政治状況を抱える東アジアに属するだけに、特に深刻に 考えさせられるものがありました。
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