(2022/10/1)

安倍元首相の国葬に思う

先月、9月に安倍元首相の国葬がありました。この国葬に対し、 マスコミは国葬が国民を分断していると盛んに報道していました。 しかし、私が考えるに、マスコミは、この国葬を使って国民の 分断を煽(あお)っていると感じました。

国葬の当日、私はテレビで国葬を見ました。会場である武道館の 外に設けられた献花台の前には、献花のために訪れた人たちが 長い列を作っていました。最後尾は四谷まで伸びていました。 そのため、献花は、予定の時刻より早めて始まり、予定の時刻を 延ばして終わりました。

一方、反対のデモは、少数の人たちであり、沢山の反対者が集 まっているように見せるため、テレビはカメラの距離と角度を 一生懸命に工夫しているのでした。

マスコミのアンケート調査では、国葬反対者が賛成者を常に 上回っていましたが、現実は圧倒的に真逆でした。マスコミの アンケート調査が、いかに信頼性に欠けるかを、いやになるほど 表わしていました。

そして、菅(すが)前首相の弔辞は、切々と語られて多くの人の 心を打ちました。テレビは、菅(すが)前首相の弔辞を 聞きながら涙する昭恵夫人の姿を写しました。昭恵夫人は白い ハンカチで涙を拭くのでした。テロで夫を暗殺された夫人の悲しみ、 喪失は、いかばかりでしょう。想像もできません。多くの人が もらい泣きし、私ももらい泣きしました。

私は、現役時代、自ら命を断ってしまったのではないかという 同僚の葬儀に参列したことがありました。喪主の奥様は下を向いて、 じっと悲しさを耐えておられました。側(そば)では大学生 ぐらいの娘さんが父親を失った悲しさでずっと泣いていました。 見るのも辛いのでした。

テロで理不尽にも夫を殺された昭恵夫人の悲しみ、喪失は、いか ばかりでしょう。しかし、安倍元首相の国葬翌日のA新聞は、「分断だ、 分断だ」と報道し、「献花のために訪れた人たちが長い列を作り、 一方、反対のデモは、少数の人たちであった」ことは報道しないの でした。

A新聞の主立った記事の見出しを拾ってみましょう。一面「分断に 責任首相は行動を」、2頁「割れた世論党内対立も」、12頁社説 「分断深めた首相の決断」、そして29頁社会面「国葬 悼む列  怒る列」、続いて写真が出ています。「一般献花に向かう人たち」 と「国会議事堂前で国葬反対の声を上げる人たち」の2枚です。

写真は同じ大きさであり、接写のようにギリギリまで近づいて撮っ ているため、まるで同人数のように見えます。しかし、テレビで 見たときは「献花のために訪れた人たちが長い列を作り、一方、 反対のデモは、少数の人たちであった」のです。

国民が、安倍元首相の国葬によって分断されていたのではなく、 A新聞が安倍元首相の国葬をネタにして一生懸命に国民の分断を煽 っていたのが実状です。

外国には、憎悪のあまり、墓を暴いて遺体を取出して鞭打つ民族が いるという話を読んだことがあります。A新聞の執拗な分断の報道は、 このおぞましい話を思い出させます。

( A新聞はポーツマス条約に反対した )

A新聞が国民を初めて煽ったのは対露戦争(日露戦争)の時です。 この時、A 新聞は、対露戦争(日露戦争)終了時のポーツマス条約 を不満として国民を煽ります。

「百田尚樹 日本国紀 2018年11月10日第1刷発行  2018年11月25日  第4刷発行 幻冬舎 」は言います。 「当時の朝日新聞は九月一日、「大々屈辱」 「講和憤慨」「日本 政府自ら日本国民を侮辱するに当る」などという激烈な記事 を書 い ている。ー(中略)ー九月五日には、東京の日比谷公園で、条約 に 反対する 国民集会が行われたが、民衆は暴徒と化し、内務大臣 官邸 や周辺の警察署、派出所 を襲撃し、東京市内の十三カ所に 火が つけられた。ー(中略)ーこの流れは、大正に 入って鎮火し たよう に見えたが、昭和に入って再燃し、日本が大東亜戦争に なだれ込む 一因ともなったのである。」(325頁)

年表を見ますとポーツマス条約調印は1905年です。今年は 2022年ですから、何と117年もの間、A新聞は国民を煽り続 けているのです。

私が生きてきた時代だけでも、私の大学生時代、大学が学生 から代理徴収していた自治会費の金(かね)の取合いを巡(めぐ) っての紛争を、学生による政治的革命と嘘を言って大学紛争を煽り、 自分で珊瑚(さんご)に傷をつけて「貴重な珊瑚に傷をつけたのは 誰だ」と報道したり、嘘の慰安婦報道を長く続けて最後に社長が 謝ったり、東日本大震災の時に危険な福島原発で必死に働いている 職員を貶(おとし)めたり、と次々と嘘の報道をして国民を 煽ってきました。

「嘘の報道で国民を煽ること」をビジネスモデルとするならば、 実に大成功したビジネスモデルです。しかも、100年以上も成功 し続けているビジネスモデルです。そして、今もA新聞は数百万部 の販売部数を誇り、大新聞として成功し続けています。

私は色々考えて、最近しみじみ思うのですが、われわれ国民には 「A新聞の嘘の報道に煽られたい」という不思議な願望があるのだと 思うようになりました。そうでなければ、A新聞の「嘘の報道で国民 を煽る」というビジネスモデルが100年以上も安定的に成功し続 けるということはありえないからです。

われわれ国民は、「A新聞の嘘の報道に煽られたい」という馬鹿で 間抜けな願望を捨てなければなりません。

( テレビAの報道姿勢について )

ところで、この国葬の話には続きがありました。国葬が終わった 9月29日のA新聞の子会社テレビAのワイドショーで、テレビAの 社員玉川徹が菅(すが)前首相の国葬における弔辞に言及したのです。

玉川徹は「それはそういう風に作りますよ、当然ながら、政治的意図 がにおわないように、それは制作者としては考えますよ。当然、 電通が入ってますから」と発言したのです。

つまり、菅(すが)前首相の国葬における弔辞は電通の意図が入って いる弔辞だと言うのです。そして、玉川徹は、自分はテレビAの ディレクターとして、そのように報道を作ってきたというのです。

しかし、菅(すが)前首相の国葬における弔辞には電通は関係して いませんでした。

テレビAはA新聞の子会社です。つまり、A新聞やテレビAは、事実を 報道するのではなく、意図的に作った報道をしています、と玉川徹は 言ったのです。困ったことです。

玉川徹は、われわれ国民が「A新聞やテレビAの嘘の報道に煽られたい」 という馬鹿で間抜けな願望を持っていることを見抜いているのです。

われわれ国民は、何とかして、「A新聞やテレビAの嘘の報道に煽られ たい」という馬鹿で間抜けな願望を捨てなければなりません。

(了)