(2018/5/4)

4月の日米首脳会談の新聞報道を比較する

先月4/17、18の2日間にわたって米国フロリダ州で安倍首相と トランプ大統領による日米首脳会談が行われました。そして、 18日午後(日本時間19日午前)安倍首相とトランプ大統領による 共同記者会見がフロリダ州バームビーチでありました。

その記者会見の様子を各新聞社が翌日20日の朝刊で一斉に報道しま した。私は、この日米首脳会談を各新聞社がどのように報道しているか に興味を持ち、翌日20日の朝刊5紙を買って読み比べてみました。 5紙とは、朝日、毎日、読売、産経、東京、の各紙です。

朝日、毎日、読売、産経、の4紙は日米首脳会談が一面トップ記事です。 これに対し、東京新聞は財務省事務次官によるセクハラ疑惑が一面 トップ記事で、日米首脳会談は一面に出てはいますがトップ記事ではあり ません。東京新聞は他紙と比較して際立って独自の価値観によって 紙面構成をしているようです。次に、日米首脳会談の記事の見出しを見て みましょう。

朝日新聞:日米首脳 通商で溝(米「TPPより二国間」)
          (関税除外要求拒まれる)
 毎日新聞:米、2国間協定に意欲(新貿易協議合意)
 読売新聞:日米貿易問題隔たり(「TPP」と「2国間」新協議を創設)
 産経新聞:日米、新貿易協議で合意 (政熱経冷 残る隔たり)
 東京新聞:日米、新たな貿易協議開始(「TPP」「2国間」溝深く)

( 新聞の見出しは出来事の全体を表わしてはいない )

この日米首脳会談の議題は、政治の分野である北朝鮮問題(核、ミサイル、 拉致問題)と経済の分野である貿易問題です。しかし、各紙の見出しは 経済の分野である貿易問題に大きくウェイトがかかっています。政治の 分野である北朝鮮問題は産経新聞の「政熱経冷 」の「政」だけです。

経済界は経済の分野である貿易問題に関心が強いと思います。しかし、 一般国民としては、どちらかというと政治の分野である北朝鮮問題の 方により強い関心があると思うのですが、見出しに関しては産経新聞 以外の新聞は全く触れていません。その産経新聞も北朝鮮問題とは 言わずに「政熱経冷 」と極めて簡略な表現です。

中味の記事を読んでみますと両首脳は北朝鮮問題では意見の一致をみたが、 貿易問題では意見の一致をみたというわけにはいかなかったということで す。どうも新聞というものは各紙によって強調の度合いに差はありますが、 「意見の一致をみたところ」よりも「意見の一致を見いだせなかったところ」 を見出しで強調したいという願望というか傾向があるようです。

物事のプラス面よりもマイナス面を強調したいという人間が誰でも持っているで あろう心理的なクセのようなもので、なかなか難しいのでしょうが、新聞は 出来事の全体を表現した見出しを工夫してもらいたいものです。

( 各紙によって扱い量(行数)に随分と差がある )

では次に、各紙の一面の日米首脳会談に関する記事の中味を見てみましょう。 記事の中味では、各紙とも政治の分野である北朝鮮問題と経済の分野である 貿易問題の両方を書いています。但し、扱いの程度は各紙によって異なって います。日米首脳会談の記事の行数、そして、その内の北朝鮮問題の行数を 計算してみました。

朝日新聞:日米首脳会談全体59行( 内、北朝鮮問題10行)
 毎日新聞:日米首脳会談全体68行 ( 内、北朝鮮問題 29行)
 読売新聞:日米首脳会談全体82行 ( 内、北朝鮮問題 35行)
 産経新聞:日米首脳会談全体142行 ( 内、北朝鮮問題 56行)
 東京新聞:日米首脳会談全体 51行 ( 内、北朝鮮問題13行)

こうして見てみますと、日米首脳会談全体の記事の扱い量(行数)には各紙 によって随分と差があります。なお、1行の字数は各紙によって差はありま せんので、行数の差がそのまま字数の差になります。

日米首脳会談全体 については産経新聞の扱い量が142行と一番多く、 東京新聞が51行と最小です。北朝鮮問題の記事の扱い量(行数)も産経新聞 の扱い量が56行と一番多くなっています。そして、ここでは朝日新聞が 10行と最小です。

今回の日米首脳会談は来月6月上旬までの開催が予定されている米朝首脳会談 を見据えての会談であって緊張感に満ちた重要な会談なわけですが、各紙 によって記事の扱い量には相当の差があるのでした。

この差は、記事の対象となっている出来事への考え方、あるいは感じ方、などに 各紙によって相当の違いがあるということです。もちろん、記事の内容にも 各紙によって随分と差があるのですが、今回は記事の内容には踏み込まずに、 記事の扱い量に焦点を絞って各紙の姿勢を見てみました。

( 重要な出来事は各紙を読み比べて自分で考えてみる )

記事の扱い量は、出来事に対する各紙の関心の強さの度合い(あるいは、 もしかしたら触れたくない度合い)を表わしていると考えられるので、今回は そこに焦点を当ててみたわけです。

こうして調べてみますと、世の中の特別に大きな出来事に対しては、ふだん 宅配で取っている新聞一紙に情報を頼るのは極めて危険なことであり、経済的 には少し負担ですが、非常に重要な特別な事については各紙を読み比べて 自分で考えてみることの重要性を強く感じたのでした。

(了)