会計実務の物語(7)パソコン会計ソフト
私は、昭和40年代後半に会社員になりました。最初に本社会計課に 配属になりました。その頃は会計の計算はソロバンでした。デスク トップパソコンを横倒しにしたような大きな計算機が1台あって掛け算、 割り算のときだけ皆で順番に使っていました。会計伝票は手書きでした。
電算室という部署があって大きなコンピューターが何台も置いてあり、 何人もの専任の担当者が働いていました。会計課では製品の受払や 原価計算に使っていました。
工場から送られてきた原価計算データをチェックする仕事をしたことが あります。その会社は、一つの県に一つの工場がありましたので、毎月、 沢山の原価計算表が本社に送られてきます。そして、原価計算データが 電算室の大きなコンピューターに送信されてきて全体の原価計算表に 足し上げられるわけです。
コンピューターが工場の計算誤りをチェックしてリストをプリントして くるので、元になった工場の原価計算表と見比べながら修正データを作成 し、電算室に持っていって入力してもらうのです。
一回目のときはいいのです。ところが二回目の修正があったときが辛いの でした。例えば、一回目のとき、「1、326」と修正データを作成しな ければならないのに、数字を書き間違えて3と2を逆にして「1、236」 と書いてしまった場合、二回目の修正データを作成して電算室に持って いって入力してもらわなければなりません。
このときは、電算室の人に露骨に嫌な顔をされるのでした。まことに恐縮 してお願いしなければなりません。この電算室の人(コンピューター担当の人) に恐縮する関係は、転勤で営業所などの勤務になっても続きました。更に、 この関係は、30代後半で転職してからも続きます。
(パソコン会計ソフトの出現 )
しかし、ついに、私が40代のいつ頃だったでしょうか、パソコンで扱え る会計ソフトが現れたのです。その頃、私は転職した会社の子会社で会計を 中心に事務全般の仕事をやっていました。会計の仕事は、親会社の大きな コンピューターで処理してもらっていました。
当然のことながら、依然として、親会社のコンピューター担当の人に恐縮 する関係でした。そこに、パソコンで完結できる会計ソフトが現れたのです。 私は、早速、会社の仕事に取入れました。
このパソコン会計ソフトは、コンピューターの難しい専門知識が無くても 取り扱えるのでした。私は、会社員になってから20数年経って電算室の人 (コンピューター担当の人)に恐縮する関係から解放されて会計の仕事が できるようになったのでした。恩人ならぬ「恩」パソコン会計ソフトでし た。今から30年ぐらい前のことです。
私は、最近、「はじめて使う弥生会計20 2020年8月3日第2刷発行 シーアンドアール研究所」というパソコン会計ソフトの解説本を買いまし た。もはや、私は会計実務の場に立つことはないのですが、パソコン会計 ソフトの解説本を見かけて、懐かしくなり買ってしまったのです。
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パラパラと読んでみました。そして、この本は、パソコン会計ソフト弥生会計 を使うのに最初に読む本ではないなと思いました。最初は、まずパソコン会計 ソフト弥生会計についている取扱説明書を使って仕事を始めるのが得策です。 そして簿記会計の勉強は、オーソドックスに日商簿記3級から始めるのが良い です。
そして、この「はじめて使う弥生会計20 2020年8月3日第2刷発行 シーアンドアール研究所」は、パソコン会計ソフト弥生会計を使って会計 実務をやる中で、迷ったときに、必要な部分を開いて参考に使う本です。
この本は「はじめて使う〜」となっているので入門書のように感じますが、 入門書ではありません。この本には、簿記会計、パソコン会計ソフト 弥生会計、税法、、、と会計実務の全体が網羅的に書いているからです。
この本は、パソコン会計ソフト弥生会計を使って会計実務の参考に使う 事典なのです。入門書と事典は、使い方が別です。私は若い頃、こうした本の 使い方の区別が分からなかったため、遠回りをしたり苦しんだりしたのでした。
(了)[追記]
「はじめて使う弥生会計20 2020年8月3日第2刷発行 シーアンドアール研究所」は、税理士が監修しています。私は、会計実務を やる中で何人かの税理士と仕事をしました。
税理士の資格の取り方は、いくつかあります。「税理士試験に合格する」 「税務署に一定期間勤める」「大学院で会計、税法の修士を取る」です。 いずれの税理士も、ほとんどの場合、会計実務の経験を有していません。
「会計実務の専門」を名乗るには少なくとも会社の会計課や経理課で10年 以上の実務を経験しなければなりません。
税理士試験はとても難しい試験です。会社の会計課や経理課での10年以上 の実務経験とは、ゼロとは言いませんが、とても両立しません。
「税務署に一定期間勤める」「大学院で会計、税法の修士を取る」は、年齢、 プライドが妨げになって、これもゼロとは言いませんが、会社の会計課や 経理課で10年以上の実務経験は無理です。会社の会計課や経理課で 10年以上の実務経験は修行といってよい仕事だからです。
税理士は税法の専門家であって会計実務の専門家ではありません。その点を よく示すのは、「はじめて使う弥生会計20 2020年8月3日第2刷発行 シーアンドアール研究所」138頁「税理士からのコメント」の次の記述 です。
「よく質問をいただく内容の一つに、「弥生会計を導入するのだから手書きの 伝票は起票しなくていいのでは?」というものがあります。これは、結論的 にはどちらでも構いません。」
この税理士のコメントは誤りです。弥生会計のような会計ソフトを導入したら 手書き伝票は廃さなければなりません。そうしませんと、会計ソフト導入の 意味が無くなるからです。
私は、請求書や領収書などから仕訳を直接入力し、伝票をプリントしました。 そして、請求書は月別に綴りこみ、領収書などは台紙に糊付けし、日付順に 綴り込こんで保管し、必要の場合、すぐに取り出せるようにしていました。
上記の税理士コメントは、監修の税理士が会計実務の経験が無いことを証して います。この場合、相談者は税理士にではなく、会計実務の経験のある人に 相談しなければいけません。
税理士は、自分も周りも会計実務の専門家と思っていますが、そうではなく、 税理士は税法の専門家であり、会計実務の専門家ではありません。
