(2024/7/1)

会計実務の物語(3)会計学@

日商簿記3級で複式簿記の仕組みを勉強しましたら、会計実務では 会計学(財務会計論)の勉強に入ります。会計学は広義の意味と狭義 の意味があります。広義には財務会計論、管理会計、会計史、、、と 色々あります。狭義には財務会計論です。

今日のテキストは次の本を使います。「公務員試験 過去問攻略V テキスト15 「会計学」2019/12/15初版第1刷発行 TAC出版」この本は、 たまたま立寄った本屋さんで見つけました。私は、もう会計実務の仕事 をすることはありませんが、会計理論がギュっと纏(まと)まっていて、 いい本だなと思って買いました。

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初めて学ぶ会計学(財務会計論)のテキストは圧縮された本がいいです。 この本は索引を含めても293頁です。しかも小型の本で、活字も普通 の大きさです。このような本ですと最初に眺めるような感じで最初から 最後まで目を通すことができます。

会計学(財務会計論)を初めて学ぶ場合、このような感じで勉強を始め ると効率がよいのです。

そして、2回目に読むときは、読む順番を考えて、大事そうな所に アンダーラインなどを引きながら普通に読みます。こうして会計学 (財務会計論)の全体を把握します。

その後は、会計実務をやりながら、仕事の必要に応じて詳細な説明が 書いている本を読んで参考にすることになります。私は、このような 効率的な勉強の方法を知らなかっため、随分と回り道をしました。

大きな本を読めば、会計学(財務会計論)が分かるだろうと600頁 ぐらいもあるような本を買って読み始めて、何も分からず徒労の努力を したのでした。若かったとはいえ、何と馬鹿なことをしたのだろう、と 思います。

しかし、私は地方の農家の出身で、家には本と言えるような本は何も 無い家で育ちましたのでやむを得ないことでした。本の読み方に対する 感度が悪かったのです。本の読み方に対する感度が悪いと、どうしても 、一通り、本の読み方の失敗をします。

( 2回目の読み方が大切です )

さて、「公務員試験 過去問攻略Vテキスト15 「会計学」2019/12/15 初版第1刷発行 TAC出版」を1回目は分かっても分からなくてもザッと 最初から最後まで眺めるように目を通すとして、2回目はどのように 読めばいいのでしょうか。

ここが重要です。最初に174頁〜178頁を読みます。ここに会計学 (財務会計論)の構造が書かれているからです。ここが分かれば、 会計学(財務会計論)の半分は理解できたと言えます。ここが会計学 (財務会計論)の中心であり、ここ以外は会計学(財務会計論)の周辺 なのです。

174頁〜178頁に書かれていることは、会計学(財務会計論)の 最高位概念である「費用収益対応の原則」、そして、費用を各期に割り 当てる「費用配分の原則」です。

「費用配分の原則」は、「費用収益対応の原則」の下位概念です。ここ を理解していると、日商簿記2級で出てくる工業簿記も理解しやすく なります。

次に6、7頁の会計公準を読みます。1、企業実体の公準 2、継続 企業の公準 3、貨幣的評価の公準 です。テキストには、「会計公準 とは、会計が行われるための基礎的前提をいう。」と書かれています。 この通りだと思いますが、なかなか難しい表現です。

もう少しやさしく表現すると、「会計理論を構築するための出発点を 色々と考えていくと、これ以上は考えられないという地点に達します。 この地点(出発点)が会計公準です。具体的には上記の三つの公準です。

では、一つづつ見ていきましょう。@企業実体の公準「企業実体の公準 とは、企業はその出資者から分離した別個の会計単位とする前提である。」 (6頁)と書かれています。

このような一見(いっけん)奇妙な公準が置かれるのは、商法(現 会社法) に「出資者から分離した別個の会計単位」は存在しないという考え方が あるからです。商法(現 会社法)は、存在するのは出資者(株式会社の 場合は株主)であって、出資者は経営者に経営を委託していると考えて 商法(現 会社法)理論を構築しています。

しかしながら、現実には会計(企業の経済計算)は実施されています。その ため、「出資者から分離した別個の会計単位(企業)は存在する」としたの が企業実体の公準です。

会社に勤めていると、「企業が存在するのは当たり前である」と感じます。 しかし、あらためて考えると、では企業は、会社の建物か、経営者か、従業員 か、と考えると、いずれでもないなと思います。すると、商法(現 会社法) の考え方も、なるほどと思います。

しかし、存在しないものの経済計算(会計)は不可能です。それでは困り ますので、「出資者から分離した別個の会計単位(企業)は存在する」とした のです。非常に抽象的な思考です。西欧から来た学問はキリスト教神学が 出発点です。そこから西洋哲学が生まれ、西洋哲学から色々な学問が生まれ ました。緻密な論理の構築が特徴です。会計学もその一つです。

会社で毎日忙しく働いていると企業実体の公準を意識することはありません。 しかし、家に帰って静かに考えると、企業実体の公準を会計学(財務会計論) の理論構築の出発点にするという考え方が納得できるのでした。

次にA 継続企業の公準です。「継続企業の公準とは、企業は人為的に定めた 一定の期間に区切って期間計算が行われるとする前提である。」(6頁) この公準は会計実務にとって 極めて重要です。この公準から発生主義、 期間損益計算という重要な概念が導き出されます。日本の企業は、 4/1〜3/31の会計期間が多いです。私が勤めた会社も4/1〜3/31 でした。

このテキストの154頁の4.時間基準ー経過勘定ーに「時間基準は狭義の 発生主義と位置づけられることがあるが、これは、時間基準が現金主義に対 する批判としての発生主義として最初に提唱されたことによる。」という 記述があります。会計実務を貫く概念の一つである発生主義の出発点が 「時間基準ー経過勘定ー」なのです。経過勘定は、企業会計原則注解では、 「経過勘定項目」という用語を使っています。

この経過勘定項目は、複式簿記の仕組みを勉強する入門段階の日商簿記3級 で最後に出てきます。そして、分かりにくいのでした。この分かり難さは、 会計実務を貫く概念の一つである発生主義の、その出発点となった 経過勘定項目を扱っているからです。しかも、日商簿記3級は発生主義という 概念を説明しません。そのことが日商簿記3級の経過勘定を分かりにくくして います。「公務員試験 過去問攻略Vテキスト15 「会計学」」を読んでから、 もう一度、日商簿記3級経過勘定を復習するとよく分かります。

会計実務の習得という観点からすると、日商簿記3級を一通り勉強したら、 この「公務員試験 過去問攻略Vテキスト15 「会計学」」を読んで、それから 日商簿記2級を勉強する。こうすると会計実務の理解が早いと思うのです。

日商簿記で複式簿記の技術を学びながら、「公務員試験 過去問攻略Vテキスト15 「会計学」」で理論を学ぶ。この「合わせ学び」が、会計実務を早く習得できる 学び方です。

( 技術と理論を合わせ学ぶ )

その次は、会計実務に必要な税法の勉強、あるいは上場企業に勤務している 人なら日商簿記1級を学ぶ、など、その人の必要に応じて勉強を進めることに なります。

その場合、「公務員試験 過去問攻略Vテキスト15 「会計学」2019/12/15 初版第1刷発行 TAC出版」の「会計学の基礎知識」2〜10頁を読むと会計学 の全体の見通しが立ちます。

特に10頁の「企業会計原則等の会計基準と会計法規」の図は大切です。自分 は今どこを勉強しているんだろうと迷ったとき、ここに戻って確認すると、 きっと役に立ちます。

特に会計実務の観点からしますと、会計実務の体系をできるだけ早く掴むこと が大切です。イタリアのカトリック修道士パチオロから始まる会計の歴史は 興味深いですが、新人の段階では、あくまで会計実務の体系の習得に役立つ 点だけを勉強するのが得策です。

(了)