会計実務の経験(36)ー伝票ー
今日は、伝票です。「検定簿記講義/3級商業簿記 2017年 2月15日 検定(平成29年度)版発行 中央経済社 」では 182頁です。
私は、学校を卒業してから二つの会社で会計実務を中心に会社の 事務の仕事をして定年になりました。その間、仕訳はいつも伝票を 使って仕訳をしました。仕訳帳を使うことはありませんでした。
ほとんどの会社が伝票を使って仕訳の仕事をしていると思います。 会計実務が仕訳帳として伝票を使うのは作業性の観点からです。 伝票を使うと、仕訳の仕事を、複数の人で分業できます。規模の 大きな会社になりますと、部や課がいくつもありますので、仕訳は 各々の部課が伝票を起票して経理部に集めて集計処理ができて 効率的です。
私が、新入社員になって会計の仕事を始めた頃は、会計業務は ほとんど全て手作業でした。新しい月になると、月次決算の仕事 が始まります。
(手作業の会計業務は大変だった )
営業部などから伝票を集めます。経理部の伝票と合わせて、 科目別に分けます。科目別の伝票を集計して試算表を作成します。
今から50年前は、パソコンどころか電卓もデスクトップパソコン を横倒しにしたような大きなものが経理部に1台しかなく、 集計作業は基本的にはソロバンでやるのでした。
デスクトップパソコンを横倒しにしたような大きな電卓は、掛け算 割り算をするときに皆で交代で使っていました。
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試算表の借貸(しゃくたい)の数字のバランスを取るのが実に大変 な仕事でした。パソコンが現れて、伝票を入力すると借貸の数字が アンバランスの場合、すぐにパソコンが教えてくれるようになった 時は夢のようでした。
パソコンが現れた当初は、従来通り手書きの伝票を起票して、 そこからパソコンに入力していました。その後、請求書などの証憑 から直接にパソコンに入力して、伝票をプリントするように変わり ました。
(パソコンの登場は夢のようだった )
こうしますと作業効率が大幅に向上しました。更に、伝票の入力が 全て終わると、試算表、貸借対照表、損益計算書をボタン1つで パソコンがプリンターに印刷してくれるのは更に夢のようでした。 総勘定元帳、補助簿までプリントされてくるのです。
今から50年前は、こうはいきません。「検定簿記講義/3級商業簿記 」のとおりに、全て手作業で進めるのでした。手作業時代から パソコン時代の間に、大型コンピューターを会計作業の一部に使う 時代がありました。
会計作業の一部に大型コンピューターを使うのは、とても難しく、 本社のコンピューター研修を受けてきた人が、そのコンピューター知識 を独占的に保持しており、必要な時にやむを得ないなという様子で 一部の知識をわれわれ経理担当者に分け与えてくれるのでした。
大学の経済学で独占資本主義という用語を習いましたが、まるで 独占コンピューター主義でした。しかしながら、パソコンが普及すると アッというまに1人1台パソコンという時代になって、 独占コンピューター主義の人の存在意義が煙草の煙のように消えて しまったのです。
会社の中には、独占コンピューター主義以外にも知識を独占すること によって有利な立場に立とうとする人がいました。それまで紙ベース での掲示や回覧で社員に情報を知らされていたのが、あるとき、 本社のホームページに掲載される形になりました。インターネットが 大普及し始めたときでした。
(会社には情報独占する人がいた )
ある職場の責任者は、情報システムの人と話をして、自分だけが本社 のホームページを開けるようにして、必要に応じて部下に本社の ホームページで知らされる知識を小出しにするというやり方を取りま した。
しかし、そのようなことに神経を使っている内に、仕事で大きなミス が発生してしまい、責任を取って異動ということになって情報独占は あっけなく終わってしまいました。
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そう言えば、私が学校を終えて就職した会社では、当然のことですが、 まだインターネットのような便利なものはありませんでしたので、 本社からの指示や伝達は、全て紙ベースで来ていました。
私が勤務していた支店のある営業課長は、本社から来た文書を急いで 自分のカバンに入れて部下には誰にも見せないようにしていました。
そして、会社から家に帰るときには、そのカバンをしっかりと持って 家に帰るのでした。その営業課長のカバンは、本社からの文書で パンパンに膨らんでいました。恐らく随分と重かったでしょう。
(情報独占はいずれ終わるのだった )
その重たいカバンを抱えて、その営業課長は毎日、出社退社するので した。そして、月1回の営業会議では、その本社から来たカバンの 中の文書を使って営業資料を作って部下達に配り、会議をリードする のでした。
そのようなことに神経を細かく使っていたからでしょうか、私が その会社をやめて転職してしばらくして、その営業課長は病気で 亡くなったと風の便りで聞きました。まだ40代の若さでした。
会社での立場上知り得た情報を独占することで自分だけが有利に なろうとしても、私が見てきた限りでは、良いことはありません。
会社研修で得たコンピューター操作独占情報がパソコンの大普及 という時代の変化の中で一気に無意味化したり、あるいは管理職 という立場を利用しての部下に対する情報独占に神経を使うあまり、 大きな仕事のミスをしたり、あるいは病気になって早死にしたり するのでした。
自分の立場を利用してのセコい情報独占の努力は、時代の変化や 時間の経過の中で、空しい結果に終わるのでした。
(了)
