(2022/8/1)

会計実務の経験(35)ー収益と費用(4止)ー

(前頁より続く)

東大の先生の中には、このような東大法学部卒の財務省官僚を何とか しようと努力している先生がいます。私は、「会社法 田中亘  東京大学出版会2016年9月27日 初版」を読んだことがあります。

会社法 第3版

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著者田中亘 は東大教授です。この本には、次のように書かれています。

「会社の計算に関する法令の規定は、会社計算規則を含めれば相当な数 に上るが、それらは、会計帳簿および計算書類の作成(これを簿記と いう)に関する基本的ルールが前提になっている。そして、その基本的 ルールは、公正な会計慣行(431条)として存在し、法令には明記 されていないのである。法律の学習者は、簿記について知らずに会社法 の計算に関する規定を学ぼうとする結果、いくら勉強しても理解でき ない、ということになりがちである。こうした問題に鑑み、本書は、 わが国の会社法の教科書としては異例であるが、簿記の基本について 相当の分量を割いて説明することにした。」(374頁)

(東大教授は東大生に簿記を教えようと苦闘する )

田中亘東大教授は、「東大法学部の学生は、簿記を勉強しないで会社法 の計算に関する規定を学ぼうとする」ことを問題だと教育者として鋭く 認識しています。会社法の計算に関する規定を熱心に暗記するだけでは、 学習したことにはならないからです。

田中亘先生が、いくら熱心に会社法の計算に関する規定を教えても、 学生が簿記を勉強しないために教育効果が上がらないからです。 田中亘先生は教育者として、砂を噛むような空しさを感じているのです。

 

私は、田中亘東大教授の上記の文章を読んで、東大法学部卒の財務省官 僚が政府の貸借対照表の借入金だけを取上げて「日本は財政破綻する。 消費税を上げる」と、しょっちゅう言っているのは簿記を知らないから なのだということを理解したのでした。

田中亘先生の会社法のテキストでは、確かに簿記の基本について、労を 惜しまずに相当の分量を割いて説明されています。東大法学部の学生は、 田中亘先生の会社法のテキストで、しっかりと簿記の基本について学ん でください。

そして、財務省の官僚になっても、政府の貸借対照表の借入金だけを 取上げて「日本は財政破綻する。消費税を上げる」と、しょっちゅう 言うのをやめてください。政府の貸借対照表のバランスを見るように してください。

そうしませんと、対米戦争(太平洋戦争)で海軍兵学校卒、陸軍士官 学校卒のエリート軍人が、無知によって国を破滅させたように、今度は、 東大法学部卒の財務省官僚の無知によって日本は破滅します。恐ろしい ことであり、残念なことです。

(新しい会計基準、上場企業そして中小企業 )

会計基準の話に戻りましょう。1990年代以降の多くの新しく発表 された会計基準は、上記のようなものですが、制度化された以上、 監査法人の監査を受けなければならない上場企業の経理マンはよく 勉強して新しい会計基準ができるようにならなければなりません。

何年か前、日商簿記1級のテキストが大きく変わりましたが、その 理由は1990年代以降の多くの新しく発表された会計基準の テキスト用に書換えられたということです。

一方、監査法人の監査を受ける必要のない中小企業は、1990年代 以降の多くの新しく発表された会計基準は無関係ということになり ます。 2012年に公表された「中小会計要領」 (中小企業庁、金融庁)に、T.総論 6 国際会計基準との関係に 「本要領は、安定的に継続利用可能なものとする観点から、 国際会計基準の影響を受けないもとする。」と規定されたことによって 制度的に無関係ということが明確化されたからです。

中小企業の会計と税務―中小会計要領の制定の背景と運用方法

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1990年代以降の多くの新しい会計基準の発表、制度化の理由で あった「国際会計基準との調和化」という西欧のドス黒い 悪意から日本の中小企業の会計は、制度的に無関係ということになったの です。

(了)

[追記]

百田尚樹は、その著書「日本国記」で「大戦中の日本軍の指揮官クラスは 現代の官僚に似ている」と言います。彼らの共通点は、私が考えるに、 (1)学校の試験がよくできる(2)知性が無い(3)粗野である、と いうところです。そして、つまり無能です。考えるということがない のです。

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このため国の指導層になると、国を滅ぼしてしまうのです。 もちろん、ごく一部の天才は別です。しかし、天才は本当に少ししか いません。天才ではない多くの彼らは学校の試験がよくできるわけですが、 この場合のよくできる学校試験の中心は数学です。

ところが、学校数学の試験はテレビのクイズ番組とその本質は同じです。 東大法学部に入るには、この試験数学がよくできなければなりません。

昔の海軍兵学校でも数学には特に力が入っていました。哲学で有名な 木田元中央大学名誉教授の対談本を読んだことがありますが、木田先生が、 昔、海軍兵学校の学生だったときの体験談として、海軍兵学校では 座学の中では数学が特に重視されていて、数学の成績が兵学校卒業後の 配属先に大きく影響したというのです。

しかし、上記のように学校数学、受験数学は試験数学です。学校の 試験数学は、テレビのクイズ番組と同じです。私が、そう思うのは、 本物の数学を読んだことがあるからです。本物の数学は、人間の知性 そのものです。

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私は、「虚数の情緒 吉田武 2000年7月5日 第1版第3刷発行  東海大学出版会」に真の数学を見たのです。その本には、数学は西洋 の数学者達が数学の美を求めて追求し、美を見つける度(たび)に喜び を感じて発展させてきたものであることがいきいきと書かれていました。

数学の美とは、統一性と対称性です。西洋の数学者達は、統一性と対称性 の美を求めて数学を発展させ豊かにしてきたのです。決して、クイズ番組 のように試験数学の答えの当てっこ競争をしてきたのではありません。

虚数とは、二乗してマイナスの数になる数であり、元の英語では  imaginary number 即ち「想像数」です。二乗してマイナスの数になる 数は、現実のこの世にはありません。色々と考えた西洋の数学者達は、 二乗してマイナスの数になる数はあるとしたのです。だから、 imaginary number 即ち「想像数」です。

決して虚数、虚(むな)しい数ではないのです。「虚」は漢字学者 白川静の字統によれば、「昔、都があって栄えていたが、今は何も無く むなしいところ」という意味です。imaginary numberの訳「虚数」は 誤訳です。

現代は学校制度が整った時代です。そのこと自体は良いことです。しかし、 マイナスの面もあります。多くの優れた生徒、学生が、真の数学ではなく テレビのクイズ番組と同質の試験数学に多くの時間とエネルギーを使わざる を得ないため、教養のための読書の時間も取れず、結果、知性が無いのです。 そして、その結果、粗野です。東大法学部に入るためには、ごく一部の天才以外の 受験生たちは競馬の馬のように試験数学の問題解き数学コースを全力疾走しなければ なりません。

有名なW大学が、経済学科の入学試験に数学を取入れるということで話題に なっています。それはよいのですが、経済学にとって数学はあくまでも 補助学であることを忘れてはなりません。数式が一杯書いてある経済書が 優れた経済学の書であるわけではありません。経済学の発展のために クイズ番組と同じ試験数学が利用されるのではなく、上記の「虚数の情緒  吉田武」のような真の数学が利用されるようになってほしいものです。