(2022/8/1)

会計実務の経験(32)ー収益と費用(1)ー

今日は、収益と費用です。「検定簿記講義/3級商業簿記   2017年2月15日 検定(平成29年度)版発行 中央経済社 」 では170頁です。

収益と費用は、理解が難しい分野でした。会計の本質の部分だからで す。ここでは、経過勘定項目が出てきます。「収益および費用の見越し ・繰延ベ」です。

私は、会計の初心者の頃、「収益および費用の見越し・繰延ベ」の会計 処理をなぜやらなければならないのか、が分からないのでした。分かっ たのは、財務会計の勉強をやりなおしてからでした。

(経過勘定項目が出てくる理由 )

経過勘定項目は、期間損益計算という考え方から出てくるのです。 出発点は、会計公準(2)の継続企業の公準です。継続企業の公準とは、 「企業は永遠に存在する」という考え方です。

それ故に、企業の経済計算である会計は、人為的に期間を区切って計算 しなければならないということになります。この期間は通常1年です。 このようにして計算しませんと、利益の計算が企業の解散の時になって しまい、利益に基づく配当が、ずーと遅れてしまいます。

これでは企業に出資する人がいません。そのため、人為的に期間を区切 って会社の利益を計算し、出資者に配当するわけです。

すると、その期間の利益を適正に計算するためには、どうしたらいいか、 という問題が出てくるわけです。その解答が、期間損益計算という概念で あり、費用収益対応の原則であり、その技術の一つが上記の、「収益 および費用の見越し・繰延ベ」なのです。

(日商簿記は3級が一番難しい )

日商簿記は、3級、2級、1級と、順次難しくなっていくと一般には考 えられています。試験の合格率だけでいえば、そうかもしれません。 しかし、簿記会計の本質から言えば、そのようなことは全くありません。 実は、3級が最も難しいのです。

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3級の「収益および費用の見越し・繰延ベ」は、簿記会計を貫いている 大原則である「継続企業の公準」、「期間損益計算」、「費用収益対応 の原則」から導き出される会計処理です。しかも、簿記会計のほんの一部 です。有名な例え(たとえ)で言うと、象の尻尾の部分です。象の尻尾 だけ見せられて、理解を強(し)いられるのです。よほど勘の良い人 ならば尻尾だけで理解できるかもしれません。私にはできませんでした。

私が、3級の「収益および費用の見越し・繰延ベ」を自信を持って理解 できたのは、簿記会計を貫いている大原則である「継続企業の公準」、 「期間損益計算」、「費用収益対応の原則」を勉強して簿記会計の体系を 理解できてからのことでした。

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簿記会計は、約500年前にイタリアの商人の帳簿記入の実務の過程で 自然発生した複式簿記の技術と、西洋の文科系の伝統である抽象化され た会計理論が組み合わされて構築されています。簿記会計の習得には、 技術と理論の往復という勉強の過程が欠かせません。

(財務会計の理論 )

上記の「継続企業の公準」、「期間損益計算」、「費用収益対応の原則」 は、収益、費用を簿記会計の中心概念と捉えて構築された財務会計の理論 です。

財務会計の理論は、会計基準として文章化、制度化されてきました。最初 に制定された会計基準は、「企業会計原則」(1949年)です。対米戦争 (太平洋戦争)の敗戦後に制定されました。

企業会計原則の前文の冒頭に「我が国の企業会計制度は、欧米のそれに 比較して改善の余地が多く、〜」と書かれていて、敗戦が契機になって 制定されたことが分かるとともに、300万人という途方もない犠牲者 を出して、空襲によってほとんど全ての都市が焼け野原にされて、国中 が崩壊してしまった敗戦ショックというか、辛い敗戦劣等感とでも言う しかないものを生々しく感じさせます。

(次頁に続く)