(2022/6/1)

憂国の人の会計書を読む(5)

(前頁より続きます)

(ロシアはウクライナに攻め込んだ )

これは、私も学校で世界史を習いましたが、言われてみれば、その通りです。 世界史を習った時点で気づかなければいけないことですが、私は、人に言われて、 その通りだと思ったのです。若かった私は想像力が乏しいのでした。

今現在、ウクライナ人はロシアに攻め込まれて、多くの人が国外に逃げたり、 ロシアの軍隊に捕まえられた人たちが、気の毒に、ロシアに連れ去られたり しているのがテレビで報道されています。古代文明の人たちにも、いや世界史 の中では同じような気の毒な運命が、いくらもいくらも数え切れないほどあった 悲しく悲惨な出来事なのです。私たちの想像力が及ばないだけです。

世界史の観点から見ると、我々日本人は例外の歴史を歩んできた民族です。 我々日本人は、古代の神話時代から現代まで同じ日本民族がこの日本列島で 生きてきました。これは日本が島国だということで、海が他民族との間を 隔てているという地の利があり、我々は空気のように当たり前に思っていま すが、実は、世界で唯一のことだというのです。

イギリスも島国ですが、大陸との間の海は狭く波静かで、若くて体力のある 水泳の名手ならば泳いで渡れるほどなのです。これに対して、日本海は広く 波荒く、いかなる水泳の名手でも泳いで渡ることはできません。昔、日本海を 超えて大陸に渡ろうとした人は、死を覚悟して海に出たのです。空海も 最澄もそうです。

もちろん、海だけではなく、日本民族が武術で戦う民族であることも大きい のです。元寇の時も武士団が元軍を相手に猛烈に戦いました。海を越えて 白人がやってきたとき、薩摩藩(現 鹿児島県)の大名行列に馬で乗込むという 無礼を働いた白人を武士は鍛えた剣術を使って、躊躇無く、腰に差した剣を 抜いて切り殺しています(生麦事件)。

当時の薩摩藩は、武士の子は年頃になると山から一本の堅い木を切ってきて 庭にしっかりと固定して、左右から木刀で打って剣術を鍛えるのでした。 そして、堅い木が毎日、左右から打たれ続けて削られて行って遂に自然に 折れたら、この剣術修行は終了でした。現代剣道では、「切り返し」と言って いる練習ですが、現代剣道の「切り返し」とは比較にならない、実践的で 強烈な剣術鍛錬でした。この薩摩藩の剣術は、示現流(じげんりゅう)と 言われます。薩摩藩の大名行列に馬で乗込むという無礼を働いた白人は、 警護の武士の示現流の剣で切り殺されたのです。

当時、白人は有色人種の国に行って、その国の民族を滅ぼしたり、奴隷にしたり と、やりたい放題をしていました。アフリカ、北米、南米、オーストラリア、 東南アジア、、、どこもそうでした。しかし、日本では無礼を働けば武士によって 切り殺される、という事実に白人は驚愕し恐れたと思うのです。他の有色人種の 国では決して見られないことでした。そして、先のアメリカとの戦いは、無能な エリート軍人のために負けはしましたが、兵士が勇敢に猛烈に戦ったために 日本は生き残ったのです。

「日本国記 百田尚樹」は嘆き、怒ります。 「〜、はたして当時の日本陸軍と 海軍は、本気で戦争に勝つ気があったのだろうかとさえ思えてくる。私が最も 腹立たしく思うのは、当時の日本軍上層部が失敗の責任を取らなかったことだ。 将官クラス(大将、中将、少将)はどんなひどい作戦ミス、判断ミスをしても、 そのことで責任を取らされることは一切なかった。そのため大戦中に同じ失敗を 繰返した。」397頁

百田尚樹が日本国記で嘆き、怒る日本軍の将官クラス(大将、中将、少将)は、 海軍兵学校、陸軍士官学校卒のエリートです。彼らは、百田尚樹が怒るように 無能で、無責任で、粗野です。しかし、彼らは海軍兵学校、陸軍士官学校入学時は 最優秀な人たちでした。それなのに、海軍兵学校、陸軍士官学校の上級生による 暴力的環境、問題解き数学に重点を置いた教育、教養の要素ゼロの教育、これら によって、百田尚樹が「本気で戦争に勝つ気があったのだろうかとさえ思えて くる」と激怒する軍人に成りはてたのです。

最優秀の人たちを教育がダメにしてしまったのです。海軍兵学校、陸軍士官学校の 教育が、深刻な「知性の欠陥」を抱えたエリート軍人を量産してしまったのです。 国運をかけた大戦争だというのに将官クラス(大将、中将、少将)が同じ失敗を繰返し たのでは、百田尚樹が激怒するのは当然です。

日本国紀

新品価格
¥1,800から
(2022/5/19 12:29時点)

(著者大畑氏の会計基準への憂い )

さて、著者大畑氏の会計基準に関する具体的な憂いについて考えていきま しょう。著者大畑氏が憂いる新しい会計基準が導入されたのは、 橋本龍太郎首相の日本版ビッグバンの指示から始まりました。1996年の ことです。

橋本龍太郎首相はイギリスの金融制度改革の成功を見て、日本でもやろうと 思ったのです。つまり、日本の実状をよく調べてのことではないのです。 思いつきです。

橋本龍太郎首相は、歌舞伎役者のような顔に、豊かな頭髪をいつも ポマードでカッチリと固めて女性に人気でしたが、慶応ボーイを気取 って、国民にとって困ったことばかりやった首相でした。

不況の最中に消費税を3%から5%に上げて今日に続く経済低迷の元 を作ったのも橋本龍太郎でした。橋本龍太郎は経済というものが全然 分からないのでした。実学を重視した福沢諭吉の慶応出身とはとても 思えません。一体、慶応で何を学んだのでしょうか。橋本龍太郎は 福沢諭吉の教えをしっかりと学んで欲しかったものです。

最後には外国人の女性工作員を愛人にすることまでやりました。 総理大臣の寝物語で日本の国家機密が外国に筒抜けです。日本の実状 を調べもせずに、イギリスの金融制度改革を物まねした、この日本版 ビッグバンも橋本龍太郎がやったことの一つです。

(橋本龍太郎は思いつきで会計ビッグバンを導入した )

橋本龍太郎の日本版ビッグバンで導入された新しい会計基準は、 日本経済にとってマイナスでした。日本版ビッグバンで導入された 新しい会計基準は色々ありますが、主要なものをいくつか ピックアップしてみましょう。

まず、「金融商品に関する会計基準」です。以前は、株式などの 有価証券は企業は買ったときの価格で、ずーと貸借対照表に載せて いました。株価の上げ下げなどは会社の決算には関係無かったのです。

株価などというものは上がったり下がったりするのが常(つね)です ので、そのようなものを会社の経営にいちいち反映させていては安定 した経営はできません。だから、以前のやり方は良かったのです。

ところが、「金融商品に関する会計基準」が導入されると、株価の 上げ下げを、基本的には、いちいち決算に反映させなければならなく なりました。会社の決算書に実現してもいない株式の評価損益が反映 してしまって、会社の経営が不安定化したのです。困ったものです。

著者大畑氏は、少なくとも持合い株式については株価の上げ下げを 決算に反映させることをやめるように提案していますが、実現していま せん。

次に、税効果会計です。税効果会計は、法人税に費用収益対応の原則 を適用するものです。しかし、法人税は政府が一方的に掛けてくるもの で、誰が考えても費用収益対応の原則にはなじみません。それなのに、 政府が一方的に掛けてくる法人税を販売促進費などと同じように扱えと いうのです。

日本経済を壊す会計の呪縛 (新潮新書)

新品価格
¥2,169から
(2022/5/12 11:56時点)

孫子 (ワイド版岩波文庫)

新品価格
¥1,210から
(2022/5/12 12:00時点)

論語 (ワイド版岩波文庫)

新品価格
¥1,650から
(2022/5/12 12:01時点)

(次頁に続きます)