憂国の人の会計書を読む(1)
「日本経済を壊す 会計の呪縛 大畑伊知郎 2013年5月20日 発行 新潮社」を読みました。著者は、大学卒業後 大手銀行入行 その後公認会計士試験合格 大手監査法人を経て独立しました。
著者は、このような仕事を通して会計ビッグバンによって続々登場 した新しい会計基準が日本経済に深い影を落としていることに気づき、 新しい会計基準の適切な見直しを提言します。しかし、この本が出版 されてから既に約10年が経ちますが、会計基準の適切な見直しが あったという話は聞きません。残念なことです。
著者は、「まえがき」で基本的な問題を提起します。著者の問題意識 をまとめると「今日の日本経済を語る上で会計基準の問題は重要であ る。それなのに、日本では学校教育における会計軽視の問題もあって、 一般市民から有識者にいたるまで会計や会計基準の知識がほとんど無い のが現状であり、そのため経済に深刻なマイナスの影響を与えている 会計基準の問題が注目されることがない。」ということです。
こうした状況を憂(うれ)うる著者は、会計や会計基準の専門知識無 しでも分かるように現在の会計や会計基準の問題を語っていくのです。
(著者は国を憂(うれ)えている )
長年、会社で会計実務をメインに仕事をしてきた私は、著者の国を憂 うる気持ちに心を打たれるとともに、現在の日本経済の理解に非常に 役立つ話でした。
著者は、そもそも日本では学校教育において会計教育を軽視している ことに大きな問題があると言います。考えてみますと、会計教育の軽視 は根が深い問題です。学校の日本史の時間に、江戸時代には身分が 士農工商と位置づけられたと教えられました。商が一番下です。 この江戸時代の士農工商という位置づけの感覚は、現代日本にもしぶとく 生きています。
日本では官僚はえらく、商人はえらくありません。官僚は現代日本の 士族です。いつも威張っていて、いつも増税の方法を考えています。官僚 に増税されたら、消費者はもちろん商人も増税された税金を大人しく 取られるしかありません。
このような状況ですから、商人の計算である会計(商業計算)が学校教育 で軽視されるわけです。ところが、若い頃、本で読んだのですが、 アメリカでは逆で、小さな店の商店主のほうが公務員よりも心から尊敬 されているというのです。そのため、アメリカでは公務員の給料は安く 公務員希望者が少ないということです。
現在、日本では在野精神を強調し大切にする早稲田大学でさえも学生の 半分が公務員希望ということですので、国が違うと社会の状況は全く異 なるわけです。
(アメリカは誰でも会計の基礎を知っている )
アメリカでは義務教育の算数、数学に簿記(商業計算)があるため、 アメリカ人は誰でも会計の基礎を知っているということです。 日本の子どもは英語をやらなければなりませんので、義務教育の算数、 数学で簿記(商業計算)を学ぶのはなかなか無理で難しいです。
アメリカ人と日本人では会計に対する知識が異なっているのです。 ところで、今、フッと思い出したのですが、著者大畑氏が言うように 日本では確かに学校教育では会計(商業計算)が軽視されていますが、 企業という、ある意味限られた狭い世界では会計を仕事にする公認会計士 や税理士は「先生」と呼ばれて非常な権威があって尊敬されています。
肩書きの資格に士農工商の一番の「士」が付くというところに非常な 権威の理由がありそうです。会社で気楽な集まりがあったとき、アメリカ でも公認会計士や税理士のことを「ティーチャー teacher 先生」と 呼ぶのでしょうか、と疑問を口にしました。
すると、ものをよく知っていそうな人が、アメリカでは「ティーチャー teacher 先生」とは呼ばずに、「ミスター Mr. さん」と呼ぶのだよと 教えてくれたのでした。
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