会計実務の経験(26)ー貸倒損失と貸倒引当金(4)ー
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ところで、日商簿記検定は、3級、2級、1級、といかにも連続している 印象を与えます。しかし、3級、2級、は、確かに連続しています。 というか、一つのものを二つに分けています。
ところが、1級は2級とは必ずしも連続しているとは言えません。従って、 会計実務の勉強という観点からすると、3級、2級は一緒に勉強し、次には 「財務会計講義 桜井久勝 中央経済社」を使って、会計理論の勉強をする のが合理的なのです。
そして、会計理論の勉強が終わったら、会社法の計算規定(債権者保護の 観点から企業会計を規制します)、法人税法(課税の公平の観点から企業会計 を規制します)、と勉強を進めることにより会計実務の全体を把握すること ができます。
では、日商簿記1級は会計実務の観点からすると、どのような意味を持って いるのでしょうか。それは、上場企業に勤務して会計業務に従事した場合、 勉強しなければならないということです。上場企業は、金融商品取引法に 規制されます。金融商品取引法は、投資家保護の観点から企業会計を規制し ます。
上場企業は、規模が大きいため会計部門は複数の人が分業の形で仕事を進め ます。従って、自分の担当の部分を日商簿記1級のテキストで勉強するのが 良いです。余裕があれば、もちろん、日商簿記1級のテキスト全体を勉強 しても良いわけです。
日商簿記1級は上場企業が対象のため、IFRS(イファーズ International Financial Reporting Standards 国際的な財務報告の諸基準、)の影響を もろに受けます。
こうした点があるため、3級、2級とは別の世界になっています。欧米から の表面は良さそうな、しかし実は、しばしば邪悪な下心に曝(さら)されて いる世界なのです。日商簿記1級は、そういう意味で難しい世界だという ことです。
なお、なぜかIFRSは公(おおやけ)には国際会計基準と訳されます 。日本 ではよくあることですが、官庁やどこかの業界の利権の臭いがする訳です。 私は若かった頃は、このような利権にねじ曲げられた訳の臭いに疎(うと) かったのでした。
重要性の原則の話しに戻りましょう。重要性の原則は企業会計原則注解に 規定されています。企業会計原則の本則ではなく注解で規定されている理由 は分かりません。企業会計原則の日付は昭和24年7月9日です。そして、 企業会計原則注解の日付は昭和57年4月20日です。
企業会計原則や企業会計原則注解は、日本の場合、政府の依頼を受けて 会計学会の偉い先生方が作ります。その先生方は、それぞれ若い時の 論文テーマの関係などで、アメリカ会計学やドイツ会計学やイギリス会計学 といった欧米の会計学を背景に背負っていて、勢力争いなど複雑なことが あるようです。
そのような背景の中で、アメリカ会計学やドイツ会計学やイギリス会計学 といった欧米の会計学が色々な濃度で混ぜ合わされて、企業会計原則や 企業会計原則注解が作成されます。大学の会計学者にとっては、こうした 作成過程は興味深い研究テーマの一つでありましょう。しかし、会計実務 の観点からは、企業会計原則や企業会計原則注解が作成されて制度となった からには、その作成過程とは基本的には無関係に、解釈によって会計の現場 で適切に運用していくことが厳しく求められます。
しかし、会計実務の現場で、「これは重要性の原則によって〜」と話される ことはまずありません。そもそも重要性の原則を知らない人がほとんどでし た。そのため「まあ、重要性ということがありますから〜」とか、そんな 感じで簡略な会計処理を説明するのでした。
なお、日本では私法の基本法である民法も、作成過程はもっと複雑で、 フランス民法、ドイツ民法、イギリス民法、アメリカ民法などが、作成時、 改正時の政治の権力や大学の勢力争いなどを背景に色々な濃度で混ぜ合わさ れて出来あがっていて、従って、その解釈は難しいものになるわけです。
会計実務には、税法(特に法人税法)の勉強が必要です。それで法人税法 の本を読みますと、商法(現 会社法)の規定を受けてという記述が出て きます。それで、商法(現 会社法)を読みますと、民法の規定を受けて という記述が出てきます。それで、私は民法を勉強しました。
日本の民法は、ギュッと圧縮して言いますと、主にフランス民法を主体に 作られたものを、編立て章立て、即ち形をドイツ民法にしたものです (パンデクテン方式と言います)。そして、対米戦争(太平洋戦争)に負 けた時にアメリカ民法も混ぜられました。
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