(2022/3/1)

会計実務の経験(15)ー有価証券(2)ー

(前頁より続きます)

そもそも、会計のように、直接に目で見たり手で触ったりすることのできない ものを叙述することは難しいことです。現代の会計のように揺れるように 変化していくものを叙述することは、さらに難しいことです。その難しい現代 の会計を石川純治駒澤大学経済学部教授は、驚くべき力で叙述するのです。

このような優れた先生に会計学を習うことができる駒澤大学経済学部の学生は 本当に幸せな学生達です。東京には多くの大学があります。一つの都市に多く の大学が集まると、そのような環境から優れた先生が現れるのだと思うのです。

(「中小会計要領」は、ほとんどの会社をIFRSから切離した )

私が、この本を読んで特に良かったと思うのは、21頁の「図表3−2  会計基準の全体像ーIFRSと「中小会計要領」の位置」です。

私は、あるとき「中小企業の会計と税務〜中小会計要領の制定の背景と運用方法〜  品川芳宣 平成25年4月8日 大蔵財務協会」を本屋で見て買ったのです。

中小会計要領は平成24年2月1日、中小企業庁と金融庁が共同事務局を勤める 「中小企業の会計に関する基本要領」(略して「中小会計要領」と言われます) として公表されたのでした。

何か意味がありそうな本だと思ったのですが、中小会計要領の位置づけがよく 分からないのでした。上記の「揺れる現代会計ーハイブリッド構造とその矛盾ー  石川純治 2014年8月20日 第1版第1刷発行 日本評論社」によって、 その位置づけがIFIRSとの関係でよく分かったのでした。

日本には、上場会社が約3,900社あります。そして、未上場の中小企業が 約260万社強あります。そして、後者の未上場の中小企業約260万社強の会社は、 IFRS(国際会計基準)は関係が無いということになったのです。

中小会計要領T総論 6.国際会計基準との関係「本要領は、安定的に継続利用 可能なものとする観点から、国際会計基準の影響を受けないものとする。」と 規定されたからです。

中小会計要領のこの規定によって、日本の未上場の中小企業約260万社強の会社 (つまり、ほとんどの会社)は、IFRS(国際会計基準)の混乱から切り離されたの です。

(IFRSの直訳は「国際的な財務報告の諸基準」である )

また、更に私は、「IFRSはこうなる 田中弘 2012年3月31日 発行  東洋経済新報社」を読みました。IFRSという言葉は、ある頃から会計雑誌などに よく出るようになりました。元の英語では、International Financial Reporting Standards であり、直訳すると「国際的な財務報告の諸基準」となり ます。

つまり、財務報告のための諸基準なのであって、会計理論ではないわけです。 ところが、日本語では公式には「国際会計基準」と訳されて、何か会計理論のような印象 を与えます。

このように訳した人あるいは団体に何か意図があるのか意図がないのかは分かり ません。但し、日本では過去に色々な分野で、意図の有無は分かりませんが、 原語の英語の直訳と異なる日本語訳が公式に当てられることによって、様々な利害 あるいは混乱が生み出されたことがあるので、原語の英語の直訳を知っている ことは大切なことです。

(IFRSに対する会計学者の怒りを読む )

会計雑誌や経済新聞は、欧米からやって来たIFRS(国際会計基準)をこれからの 最新の会計であるということで肯定的に報道しました。しかし、著者田中弘神奈川 大学経済学部教授は怒りを込めて次のように言うのです。

「2011年の春頃まで、日本では、「IFRSは受け入れなければならないもの」 「IFRS強制適用ありき」といった風潮が支配していました。いつものことですが、 世界が、それも日本人が大好きな欧米が決めたことには、従順に従うのです。 日本に不利益なことも、です。」(読者の皆さんへのメッセージ B頁)。

上記の私が無意味ではないかと思いながらやっていた「その他有価証券 」の 仕訳は、IFRS(国際会計基準)の影響だったのです。著者田中弘は続けます。 「 IFRSでは資産は売却時価で、負債は即時清算価額(時価)で バランス・シートに載せるのです。これで「この会社の正味資産の売却時価」が 分かります。」(読者の皆さんへのメッセージ D頁)。

著者田中弘によると、このようなIFRS(国際会計基準)の目的は、 「物づくり」で稼げなくなった英米が、企業に「自分の会社の正味資産の 売却時価」を計算させて、企業の売買で儲けようとするものだ、というの です。歴史を振返ると、いかにも英米のアングロサクソンの考えそうな ことです。なんとも恐ろしい話です。

(次頁に続きます)

中小企業の会計と税務?中小会計要領の制定の背景と運用方法

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