会計実務の経験(11)ー貸付金、借入金、などー
今日は、貸付金、借入金、などの債権、債務をみていきます。 「検定簿記講義/3級商業簿記[平成29年度版]では113頁からに なります。
ここでは、売掛金、買掛金といった企業の典型的な債権、債務以外の 債権、債務が色々取上げられています。これらの中で、私が会社員と して経験した中で強い印象を持ったものを書いていきたいと思います。
まず借入金です。ほとんどの企業には借入金があると思いますが、 私が転職した会社は資金繰りの回転が良くて、いわゆる無借金企業と 言われる財務体質の強い会社でした。そのため、銀行から金(かね) を借りる必要はありませんでした。
しかし、子会社に派遣されて経理を担当したときは、資金繰りが大変で いつも資金不足のため、銀行から金(かね)を借りるのが仕事の半分 のような状況でした。文字通り火の車のような資金繰りでした。いつも、 これから先3カ月の日別に分かる資金繰り表を作成して手元に置き、 資金ショートしないように神経を配っていました。
親会社は、子会社の経営独立性を主張して、子会社の資金繰りは自分で つけるように言うのでした。会社から歩いて10分ぐらいのところに 三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)の支店がありましたので、そこに 普通預金口座と当座預金口座を作っていました。
そして、日常の資金の出し入れは普通預金口座を使い、金(かね)を 借りるときは当座預金口座開設により銀行から渡されていた約束手形 を発行しました。いわゆる手形借入れをしていたのです。
「検定簿記講義/3級商業簿記[平成29年度版]では137頁になります。 このテキストでは仕訳は次のように解説されています。
現金の借入れにあたり手形を振り出した場合 (借)現金 ××× (貸)手形借入金(または借入金) ×××
私が経験した手形借入れでは、貸方の勘定科目は借入期間が1年以内の 場合は短期借入金、1年を超える場合は長期借入金としていました。 いわゆるワンイヤールール(one year rule 1年基準)です。
(日本長期信用銀行から手形借入れをした )
段々、資金繰りが厳しくなってきて、三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)から の借入枠が一杯になりました。そこで、親会社からの紹介だったと思うの ですが、日本長期信用銀行(現 新生銀行)から借り入れをすることに なりました。
その借り入れの仕事のために日本長期信用銀行(現 新生銀行)に行って 受付で、営業担当の人に面会を申し入れました。案内された控え室で 待っていたところ、来たのは若い上品な女性の秘書の方で、「営業担当 の○○は現在、仕事で出ておりますので、ご用件は私の方で承ります。」 とのことでした。
それで、私はお金の借り入れのために必要な書類のことなどを聞いたりし たのでした。そして、驚いたのは、日本長期信用銀行(現 新生銀行) では、営業担当の人3人にこのような若い女性の秘書の方1人がついて いるという話でした。
いつも行く三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)では、営業担当の人に秘書が ついているという話は聞いたことがありませんでした。それどころか、 女性行員の中には自転車で必死に取引先を回っている人もいました。 三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)の女性行員の人達は、とても大変で逞( たくま)しいのでした。
(日本長期信用銀行の調査部長は本を出版した )
同じ銀行という業界であっても、随分と違うものだと思いました。その 内、日本長期信用銀行(現 新生銀行)の T 取締役調査部長の本が 出版されました。題名は確か「柔構造の日本経済」でした。随分売れて 話題になったので、私も買って読んでみました。
T 取締役調査部長は、大学時代は「マルクス共産党宣言」を繰返し読ん で暗記したと自慢げに書いていました。理由は流行していたから、と いうことでした。私も若い頃、「マルクス共産党宣言」を読んだことが ありました。最初のところは、「ヨーロッパに妖怪が徘徊している。 共産主義という妖怪が、、、」というものだったと記憶しています。
薄い政治パンフレットでした。正直なところ、日本長期信用銀行(現 新生銀行)の T 取締役調査部長は「マルクス共産党宣言」のような 政治パンフレットを繰返し読んで暗記して何がいいんだろう、と思いま した。
そして、T 取締役調査部長は銀行の毎日の地味な業務を軽蔑していまし た。銀行マンなのに、銀行の毎日の地味な業務を軽蔑しながら、学者の 真似事をして本を書いて悦に入っている T 取締役調査部長の姿勢に、 私は会社員として何かイヤなものを感じました。
( 日本長期信用銀行は金融自由化の波に飲まれた )
そして、程(ほど)なくして始まった金融自由化の波に 学者の真似事 をしている T 取締役調査部長を重用していた日本長期信用銀行(現 新生銀行)は抗することができずに、あっというまに、波に飲み込ま れて消えてしまったのでした。
その後、アメリカのファンドに買われた、ということを風の噂に聞きま した。そして、昨年、ネット証券SBI証券に買われて子会社になったと インターネットのニュースに出ていました。
日本長期信用銀行(現 新生銀行)は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の 響きあり、盛者必衰の理(ことわ)り、、、」を地で行ったのでした。 しかし、当時、私は感傷にふけっている余裕はありませんでした。
( 日本興業銀行から手形借入れをした )
日本長期信用銀行(現 新生銀行)の借入枠も、まもなく一杯になって しまったのです。今度は日本興業銀行(現 みずほ銀行の一部)から金 を借りることになりました。例によって手形を振り出して借入れること になりました。
今度は、手形を日本興業銀行(現 みずほ銀行の一部)の営業の人が取 りに来るという連絡がありました。そして、約束の当日になると、営業 の人3人が来たのでした。手形1枚に3人も来たのに驚きました。
それ以上に驚いたのは、手形を渡して預かり証を求めたのに、「当行は 預かり証は出さない。」と言って、手形を持ってすぐに帰ってしまった ことでした。その高飛車な姿勢に驚きました。
その後、日本興業銀行は他の大手銀行2行と一緒になって、みずほ銀行 になりました。そして、みずほ銀行は、よくシステム障害を起こして ニュースになります。
昨年もシステム障害を起こしてニュースになっていました。もしかし たら、旧日本興業銀行の人たちは、私が手形借入れのとき経験したように、 他の2行に威圧的で協調的ではないため、内部が混乱しているからだろうか、 と考えたりするのです。
それとも、みずほ銀行の偉い人たちが、日本の昔からの組織ではよくある ことで私も経験しましたが、「俺はパソコンなんかに触ったことがない」 と、威張っているだけのために銀行内部全体に漂(ただよ)っている コンピューターシステムへの軽視、無理解からくるのだろうか、と考えた りもするのです。
(了)