会計実務の経験(10)ー売掛金、買掛金ー
今日は売掛金と買掛金です。売掛金と買掛金とは仕訳は特に問題は ありません。テキストを読めば分かります(平成29年版では 100頁から)。
2級では、クレジット売掛金という勘定科目が出てきます。これは 時代に流れの中でクレジットカードがよく使われるようになったこと を反映しているのでしょう。
仕訳は容易ですが、売掛金勘定の管理は難しいものがありました。 売掛金勘定の管理は取引先との力関係が直接的に反映しました。
( 売掛金管理は取引先との力関係が影響する)
こちらの力が強い場合には楽なものです。根抵当の設定もして有利な 契約を結ぶことができるからです。根抵当とは一定の金額までの売掛金 (債権)を保証させる契約です。
ところが、逆にこちらの力が弱い場合は、売掛金勘定の管理は実に大変 でした。私が20代後半の頃、スーパーマーケットという販売ルートが 現れて急成長し始めたのです。
スーパーマーケットは大量販売ができるため、メーカーに対して強気の 姿勢を取ってきました。
メーカーの営業部は有力なスーパーマーケットのバイヤー(仕入担当者) にゴルフセットを送ったり、夜のご接待をしたりして、取引を開始して もらったり、継続してもらったりと平身低頭しながら大忙しです。
比較的、力の弱い販売店に対する営業マンの高飛車な姿勢とは真反対で した。
( スーパーマーケットの売掛金勘定には分けの分からない残額が発生した )
そして、スーパーマーケットの売掛金勘定には毎月、分けの分からない 差額が発生するのでした。この主たる理由は、納品書にありました。 有力なスーパーマーケットは市場で強い力を持っていますので、 メーカーが商品を納入するときに使う納品書を、スーパーマーケットが 自社で作成した納品書を使うように強制的に指定してきます。
そして、こちらから出した請求書とスーパーマーケットの現場から上が ってきた納品書を突き合わせて、これは納品書が確認できなかったと、 有無を言わさず支払金額から差引いてくるのです。
そして、翌月の支払に回したり、あるいは支払われないままになったり します。これが毎月、発生しますので何ヶ月か放っておきますと スーパーマーケットの売掛金勘定に分けの分からない金額が残ってし まうのです。
これを避けるためには、毎月、スーパーマーケットに電話して差額の理由 を聞くという面倒で不毛な仕事が発生してしまうのでした。ここで「不毛」 という意味は、キチンとやらないと批判されるが、キチンとやっても会社 では何の評価もされないという意味です。
会社には、キチンとやらないと批判されるが、キチンとやっても何の評価 もされないという仕事が沢山あります。日本人の特性だと思うのですが、 このような、むくわれない損な仕事もキチンとこなす人が多くいるという ことが日本の会社の強みなのです。
転勤で引継いだ仕事の中にこのスーパーマーケットの売掛金勘定があった ことがありました。この前任の担当者はスーパーマーケットに電話して 差額の理由を聞くという面倒で不毛な仕事を全く放棄して、仮払金勘定に 振替えていました。
従って、売掛金勘定はきれいですが、仮払金勘定に分けの分からない残高 が残っていました。
仮払金勘定の中味を聞くために、前任の担当者に電話して仮払金勘定の 中味を聞いたところ、そのような処理をしていたことが分かったのでした。
( 前任の担当者はズボラなのだった)
その前任の担当者は「細かいことを言えば良くないんだろうけど仕方ない んだよ。」と言っていました。このようなことは個人の性格が出ます。 前任の担当者は、よく言えば鷹揚(おうよう)、悪くいえばズボラです。
しかし、このような仮払金勘定をそのままにはしておけませんので、 40年前以上のことですが、いろいろ考えて状況の記録を残した上で 売上原価勘定に振替えて処理した記憶があります。他にやりようがなく、 やむを得ないことでしたが、気持ちの悪さが残りました。
こうした経験をしましたので、私は、その後はスーパーマーケット 売掛金勘定を担当したときは、スーパーマーケットに電話して差額の理由 を聞くという面倒で不毛な仕事をキチンとやるようにして、分けの分から ない残額を次の人に引継ぐということはしませんでした。
取引先との関係で、こちらの力が弱いと、テキストには載っていませんが、 会計実務の現場では面倒で不毛な誰もやりたくない仕事が発生するのでした。
このようにしてテキストには書いていませんが、会計実務の売掛金勘定の 管理は、取引相手との力関係で楽にもなれば苦しくもなるのでした。
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