会計実務の経験(4)ー現金と預金@ー
前回は、テキストの第4章「決算」のところを読んだのでした。今回 は、第5章「現金と預金」を読みます。前回、「決算」のところま でで、簿記全体の構造を見ました。このテキストの第1章から第4章 まで、ページ数にして61ページで簿記全体の構造が説明されている わけです。
簿記を初めて勉強する人にとっては、まさか61ページで、簿記全体 の構造が説明されているなんて信じられないかもしれません。しかし、 真理はシンプルなものです。
これまでにも書きましたが、簿記は500年も前にイタリアの商人の ところで自然に発生しました。そこで帳簿記入係の人が、会計実務を する中で少しづつ工夫しながら簿記全体の構造を作っていったわけで す。
商人のところの現場で、長い時間をかけて工夫を重ねて簿記全体の 構造ができあがったのです。そういう事情ですから、簿記を作った 帳簿記入係の人達の名前も、簿記が作られる過程や工夫も記録が無い のです。
そのため、簿記の歴史の本を読みますと、最初にカトリックの修道士 パチオロが出てきます。当時は今のような学校制度が無いため、 パチオロはイタリアの富裕な商人のところに行って子弟の教育をして いたのでした。
( 修道士パチオロは簿記に関心を持った)
そこで見た簿記にパチオロは関心を持ち、自分の数学の本に簿記を 記述したのでした。それがきっかけで簿記は世界中に普及したのです。
余談になりますが、パチオロはカトリックのフランシスコ派の修道士 でした。フランシスコ派の修道士は商人の子弟の教育をしていました。 当時のカトリックの修道士は修道院で神(ゴッド)に祈り、そして 仕事もしていました。当時のカトリックの修道士は「祈り、働く」の でした。
パチオロは数学の研究をし、商人のところに行って子弟の教育の仕事 もしていたのです。カトリックの修道士は静かに神(ゴッド)に祈る ために個室を持っていました。その個室のことをセルといいます。
会社でパソコンソフトのエクセルを使うとセルという小さな枠が並 んだ表が出てきます。エクセルのセルの出発点というか、語源は、 カトリックの修道士が神(ゴッド)に祈るために個室なのです。
ところで、当時、貴族の子弟を教育していたのは同じカトリックの イエズス会の修道士でした。日本史の教科書に出てくるザビエルはこの イエズス会の修道士でした。ザビエルは、日本にキリスト教を伝える ために日本に来ました。
現在、東京四谷にある上智大学はこのイエズス会の大学です。上智大学 に入学を希望する高校生は、マスコミが流す軽薄な偏差値ランクのこと だけを気にするのではなく、大学は真理を求めて学問を学ぶところなの ですから、ザビエル、イエズス会といった上智大学の歴史も学んで欲し いものです。
さて、話を簿記に戻しましょう。上述のようにしてできた簿記全体の 構造が、このテキストの第1章から第4章まで、ページ数にしてわずか 61ページに説明されていますので、当然のことながら、最初に出て 来る、ここがとても難しいです。一度読んだだけではとても習得できま せん。そのため、簿記の勉強を進めながら、2度、3度と、この最初の ところに戻って、簿記全体の構造を復習するのが簿記を早く習得する コツです。
( 会計実務では現預金が一番大事だ)
さて、「現金と預金」です。ここから、簿記の各論です。「現金と預金」 で会社では合わせて現預金(げんよきん)と言っていました。各論で 最初に出てくる現預金ですが、会計実務ではこの現預金の管理が一番 大事でした。現預金の管理がしっかりできていれば、後はなんとかなる のでした。
時々、テレビ、新聞に会社のお金が横領されたりする事件が報道されます。 そうしたことを防ぐためには現預金は必ず2人以上の人の目が通る ようにしていました。1人だけで現預金の管理をしていると不正が発生 しやすくなります。人の心は、不正への誘惑に弱いものです。
現預金の不正が発生すると、会社は困りますが、不正をした人が一番不幸 になってしまいます。そうした不幸を出さないために、2人以上の人の目 が通るようにしていました。
もしも、人員の関係で1人に任さなければならない場合は、不幸な人を 生まないように、何らかの管理の工夫が必要です。
現金には、通貨以外に通貨代用証券があります。通貨代用証券の中で、 私が実際に扱ったことがあるのは他人振出小切手です。売掛金の回収に 他人振出小切手を受取るのでした。私はその日のナイトバンクに預けまし たのでテキストの当座預金のところで説明されているように、現金勘定は 省略して当座預金勘定で処理していました。会社の金庫に多額の現預金は 置いておきたくなかったからです。
転職した会社では、小切手ではなく銀行振込による決済が基本でしたので 助かりました。現預金の持歩きはできるだけ避けて、銀行振込による決済 にするのが安全です。
現金過不足の発生は、現預金管理担当者としてはいやなものです。心理的 に負担です。しかし、小売店などのようにレジで現金が頻繁にやりとり される業種では、必ずといっていいほど確率的に発生します。
余ったときは取っておいて、足りなくなったときはそれを補填してという やり方をする責任者がおられました。気持ちはよく分かりますが、この やり方はよくありません。
現金過不足発生の心理的負担に耐えるのも仕事の一つと割り切って、 過不足の金額が大きいときは原因を調べて、原因が分かったときは修正処理 し、決算日までに原因がどうしても分からなかったときは、会計実務に おいてもやむを得ませんので、テキストのように、ありのままに雑損、 または雑益勘定で処理せざるをえません。
(次頁に続きます)
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