(2020/10/1)

会計実務の経験(2)ー取引、仕訳ー

(前頁より続きます)

簿記の基本構造を学ぶ日商簿記3級では、「追体験をしている」という意識が 特に重要です。テキストには例題がついています。この例題は、「解く」と いうよりもテキストの本文の確認のために「読む」というのが良いと思います。

そして、例題の次に付けられている練習問題には手をつけないのが得策です。 この段階で練習問題を解くことは、時間とエネルギーの無駄遣いになります。

このようにして、最後まで、とにかく日商簿記3級のテキストを読んでしま います。そして、次に「検定簿記講義/3級商業簿記 2017年2月15日  検定(平成29年度)版発行 中央経済社 」とセットになっている「検定  簿記講義ワークブック[3級/商業簿記」 2017年5月10日 検定版 第3版第2刷発行 中央経済社」を使って問題を解いていきます。

このワークブックには解答欄がついているので、解答欄に書き込むことが できて便利です。そして、ワークブックをやって、分からない所があったら、 テキストに戻って確認する。

この方法が日商簿記3級のテキストで簿記の基本構造を最も速くつかめる方法 です。そして、日商簿記3級で把握した簿記の基本構造は、会計実務の全体を 貫いていて変わることはありません。

( 第1章「簿記の意義としくみ」を読む)

さてそれでは、テキストを読んでいきます。第1章は「簿記の意義としくみ」 です。ここでは、「資産は、現金のほか、、、、」などと色々な用語の定義が 書かれています。

この段階で、多くの用語の定義を覚えようとしたり、用語の意味を考え込んだ りするのは、時間とエネルギーの無駄です。用語の定義や意味は日商簿記3級 のテキストを読み終えて、初めて分かってくるものもあるからです。

会計実務は効率が重視されます。ここでは、「簿記は会計帳簿記入の方法であり、 最後には貸借対照表と損益計算書という計算書を作るのである。」という最小限 のことを覚えておけば良いのです。

会計帳簿記入の方法や貸借対照表と損益計算書の作り方は次章以降で具体的に 説明されます。

それでは、第2章「仕訳と転記」に行きましょう。会計課に配属されると、 毎日、仕訳の仕事が続きます。自分でも仕訳をし、他の部署で仕訳されて回っ てきた伝票の仕訳が正しいかを確認するのでした。

仕訳とは、取引を借方の勘定科目と貸方の勘定科目に分けて記録することです。 借方と貸方で複式です。現在でしたら、パソコンの会計ソフトに入力すること です。

では、ここでいう取引とは何でしょうか。取引とは、資産、負債、資本、収益、 費用に変動をもたらす事象のことです。(テキスト21ページ)。この取引の 定義は、非常に決定的に重要です。日常の世界で言う取引とは意味が違います。 この事をハッキリと掴む(つかむ)ことが決定的に重要です。

会計課に配属されたら、会社に簿記上の取引が発生していないか、いつも アンテナを張っていなければなりません。そして、取引が発生したら仕訳帳に 仕訳をするのです。私が勤めた会社では仕訳帳の代わりに伝票を使っていました。

会計実務ではほとんどの場合、伝票を使っていると思います。現在は、それが 会計課の仕事であり、実はそれができれば会計課の作業の仕事はほとんど終り なのです。

私が若かった頃は、そこから延々とソロバンとボールペンを使っての総勘定元帳 への記入(転記)と計算という苦悩の作業が続いて、やっと何とか貸借対照表と 損益計算書を作成するのでした。

( 「転記」の作業はパソコンが一瞬でやってくれる )

現在は、その苦悩の作業をパソコンの会計ソフトが一瞬でやってくれるのです。 この2章の題は「仕訳と転記」となっていますが、仕訳帳(伝票)から総勘定元帳 への「転記」の部分はパソコンがやってくれるのです。

昔は、この「転記」の部分が手作業でしたので、例えば「32」を逆に「23」 と書いてしまったりすると、最後に試算表の貸借(たいしゃく)の数字がバランス しないため、この「転記」のミスを探すのに疲れた目を酷使しながら実に大変な 苦労をしたのでした。

パソコンはその苦労を完全に無くしてくれたのです。何という素晴らしいことで しょう。従いまして、会計実務の観点からしますと、「転記」の部分はテキスト を読んで問題を1つ解いて、その構造を理解したら問題を「繰返し解く」ことは 全く必要ありません。本当に良い時代になったものです。

ところで、「資産、負債、資本、収益、費用、」とは何でしょうか。それは 日商簿記3級のテキストを最後まで読まなければ理解できません。日商簿記3級 のテキストを最後まで読んでから、振返ってみることによって、「資産、負債、 資本、収益、費用、」の意味が分かるのです。

この辺りが勉強の途中でイライラして、簿記の難しいところですが、そういうもの だと最初に分かっていれば、簿記の勉強の苦労は随分と軽減することでしょう。

なお、「転記」とは簿記の世界では、仕訳帳(伝票)から総勘定元帳に数字などを 記入するという厳密な意味を持っています。実務の世界では、単にある書類から 他の書類に書き写すことも転記と言ったりします。

そのため、税金の申告書の書き方の本などでは、用語の使い方に厳密な著者は、 単に数字をある書類から他の書類に書き写すときは、「移記(いき)」と書いて 簿記の転記とハッキリ区別します。

こうして、重要な用語の意味に敏感になることが、簿記のような特殊な分野を マスターするコツの1つです。

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(了)