東大の会計学テキストを読む C
(前頁より続きます)
パチョーリのようなカトリックの修道僧は教会や修道院で神(God)に祈り、学問をし、 そして働くのでした。パチョーリは数学の研究をし、また上記のように富裕な商人のところ に行って子弟を教育しました。
当時のヨーロッパには学校という制度がありませんでしたので、富裕な商人の子弟は 家庭でカトリック教会フランシスコ派の修道僧から勉強を学んだのです。神に祈ることを 生活の中心においていたカトリックの修道僧パチョーリは仕事先のイタリア商人のところで 見た整然とした複式簿記による記帳に神の秩序を感じて、自分の著書に書いたのかもしれま せん。
( カトリック教会は学問研究や教育の役割を果たしていた )
一方、当時のヨーロッパで、貴族の子弟を教育していたのは同じカトリック教会のイエズス会で した。このようにして当時のヨーロッパではカトリック教会が学問の研究や、商人や貴族の 子弟の教育を担(にな)っていたのです。そのため、ヨーロッパの歴史の古い有名な大学は カトリックの修道院がその出発点になっているのです。
ちなみに、1549年、布教のために、はるばると日本にやって来た有名なフランシスコ・ザビエル はカトリック教会イエズス会の宣教師でした。私は高校時代、西洋の歴史の中でカトリック教会 が果たした役割のことを何も知らないまま、フランシスコ・ザビエルのことを日本史の授業で 学んだのでした。
( 政府の貸借対照表に関する財務省官僚の説明は誤っている )
さて、話を戻しましょう。簿記を勉強しないで中途半端に会計学を学んだ東大の学生が世の中 に出て害をなす第二は財務省の官僚です。先日の NHKニュースで、「財務省から国の借金が 約1,100兆円、人口で割ると1人当り約880万円になりました、と発表されました。」という 報道がされていました。
これは正しくは、最近、インターネットでよく言われますように「政府の資産は約○,○○○兆円、 負債は約○,○○○兆円、差引き、純資産は○○○兆円、資産の内、主なものは○○が 約○,○○○兆円、負債の内、主なものは借入金が約1,100兆円、、、」といった説明になら なければならないわけです。なぜなら、財務省は企業会計を応用して、政府の貸借対照表を 作成しているからです。
それなのに財務省官僚は、毎回、政府の貸借対照表から借入金だけを取り出し、更に 「政府の借入金」を「国の借金」という誤った言い方に変えて、その上、何の意味も持たない 「人口で割ると1人当り約880万円になりました」と付け加えるわけです。
私は、これは財務省官僚が消費税の税率を上げるために意図的にやっているのだろうと、これ までは思っていました。しかし、私は東大の S教授がやっている会計学の講義を元にした著書 を読んで、そうではないなと思いました。簿記を前提としない S教授の講義では、東大の 学生は会計学が分らず、当然のことですが、貸借対照表を読むことはできないのです。
そのために、東大出身の財務省官僚は貸借対照表の中から借入金だけを取り出して発表している のです。そういう事ならば、貸借対照表を読めない東大出身の財務省官僚にもできるからです。 一生懸命に苦労して、政府の貸借対照表を作成するという地味な仕事をしている公務員の方達は、 貸借対照表を読めない東大出身のエリート官僚に自分達の仕事を悪用されて、悔しい思いをして いるだろうなと思います。
( S教授の講義では会計学は分らない )
A=B+C+・・・+N
S教授はこの数式は資本財(資本設備)Aの価値を計算する数式であるというのです。このような 数式で始まる講義で会計学が分るはずがありません。この数式を見て、私は50年以上前に大学で 受けた経済学の講義のことを思いました。50年以上前のことですので、大部分は忘れましたが、 冒頭の部分はハッキリと覚えています。先生は、ドイツ人カール・マルクスがその著書「資本論」 で展開した経済理論を元に講義したのでした。
先生は言いました。「資本主義経済を象徴するものは、デパートなどで販売されている商品である。 従って、資本主義経済を分析するには商品の分析から始めることになる。例えば、リンゴはおいし くて栄養になる。鉛筆は削って字を書くことができる。このような「おいしくて栄養になる」 あるいは「削って字を書くことができる」という人間にとっての役立ちを使用価値と言う。そして、 商品からこの使用価値を取り除くと、そこにリンゴと鉛筆に共通する価値が現れるのである、、、、」。
(次頁に続きます)
(了)