個人用小型電卓の開発、登場
私は学校を終えて、ある会社の会計課で働き始めてから、ソロ バンに苦労していました。しかし、それから数年して S社や K社 が個人用の小型電卓を開発しました。1970年代半ばのことです。
価格は下がってきていましたが、それでも当時は手の平の大き さの電卓は1台1万円弱ぐらいだったと思います。でも、会社員 の個人でも手が届く価格でした。
私は当時、転勤して地方の事業所で働いていましたので、本社の 何千億円という大きな金額を、一、十、百、千、、、と位取りしなが らソロバンで計算するという苦労からは解放されていました。それで も、ソロバンでの計算は得意ではありません。
( 個人用小型電卓を自腹で買う )
私は、思い切って1万円弱の個人用の小型電卓を購入して、ソロバ ンから完全に解放されました。業務用ですから、本来は会社の経費 で負担していただくものですが、当時はまだまだ仕事の計算はソロ バンで行うものという社内の雰囲気があり、私もそうですが、私の 他に電卓を買った人も皆自腹なのでした。
上司の課長の方はソロバン1級の腕前ということでパチパチとソロ バンをはじいていました。
今は、良い電卓が1千円ぐらいで売っています。良い時代 になったものです。しかし、このような良い電卓を作った S社 が苦境にあると報道されています。
( 経営の適切で冷静な意思決定が大切な時代 )
私は今も計算が必要な時は、S社の電卓を使っています。 そして、私は今、テレビも掃除機も S社製の製品を使ってい ます。よく行く近所のコンビニで使うコピー機も S社製です。
どの製品も、とても良い製品です。詳しいことは分かりま せんが、テレビなどの報道を見ていると、S社が苦境に陥った のは液晶テレビ関連の過大な設備投資によって財務バランスが 崩れたということのようです。
以前に比べて、企業を取巻く経済の変化が大きく、そして、 変化が早くなっているように感じます。強気の大胆な設備投資 をすれば、後は経済が成長してうまくいくという時代ではあり ません。企業の内外の現状を把握した上での、先行きを見通した、 経営の適切で冷静な意思決定が大切な時代です。
一生懸命に良い製品を作ってきた S社の社員の方(かた)たちが
気の毒です。そして、私は S社製の良い製品が手に入らなく
なってしまうのでしょうか。そうだとしたら、本当に残念で
淋しいことです。
(2016/6/4)
(了)