財務会計論を学ぶ(5)-会計公準と知的な認識-
前回は、三つの会計公準の勉強をしました。どの公準も大切ですが、会計実務 の観点からしますと会計業務に常に関係している点で、2.継続企業の公準 が一番大切になります。
人為的に区切られた会計期間という時間的単位で会計実務は進みます。また、 「期間損益計算の適正化」などの重要な色々の概念も、この継続企業の公準 から導き出されるのです。
そして、三つの会計公準の中で捉えるのが難しいのも継続企業の公準です。 継続企業の公準は時間を認識するという行為です。時間という目に見えない ものを認識するという行為は人の知的行為の中で極めて高度な営(いとな) みです。
会計実務だけに埋没して財務会計論の勉強をしませんと、高度に抽象的な 継続企業の公準を理解、認識することができないのです。
( 会計公準は知的な認識行為のひとつである )
私は若かった時、一通り、会計公準の勉強をしました。そして今、高齢の 老人となって会計公準の勉強をし直してみると、会計公準というのは極めて 抽象性が高く、人間の最高度の知的な認識行為のひとつであることを知った のでした。
財務会計論はヨーロッパの学問の伝統の中で磨かれ築き上げられてきました。 そして、われわれ日本人の先人は、元々はヨーロッパの学問のような緻密で 分析的な議論には向かなかったと思われる日本語で財務会計論のような緻密 な議論を消化し吸収したのでした。
そして、その過程で、日本語自体が変化し発展してきたように思われます。 財務会計論を勉強すると、日本人の先人の言語的な格闘と努力と能力に敬意 を表せざるを得ません。
現在の日本語は小説を書くような伝統的な文学の文体と、ヨーロッパで築き 上げられてきた財務会計論のような緻密な議論を消化吸収するための、英語 を主とする外国語との苦闘の過程で出来てきた学問と実務の文体とが並行 して存在しています。日本語の文体の二重奏と言えます。
( カタカナの力(ちから)を認識し感謝する )
更に最近は急速に発展したアメリカ発のインターネット技術に対しても、 用語をどんどんカタカナに置き換えて吸収消化したようです。用語をそのまま カタカナに置き換えることを批判する方もいますが、インターネット技術の ように急速に発展変化していく分野を吸収消化するには極めて有効な方法だと 思います。意味が分かりにくいカタカナ用語は元の英語を確認して意味を調べ ればよいからです。
遙(はる)かな1000年以上も前の日本人が漢文を読み下(くだ)すために 漢字から工夫して作ったカタカナを駆使して、現代日本人はアメリカ発の インターネット技術を、たちまちに噛み砕いて吸収消化しているのです。
日本語の文字には漢字、ひらがな、カタカナ、と三つありますが、カタカナは 他の二つの文字に比べると、その有り難さ(ありがたさ)があまり評価されて いないように思われます。
しかし本当は、インターネットのような分野の用語を必要に応じてカタカナに 置き換えることを批判するどころか、私たち日本人は逆に、現代日本語に訳 することが難しい用語をそのままカタカナに置き換えて、とにかくその用語を 捉えることができるという、カタカナの力(ちから)に感謝しなければなら ないと思うのです。
( 日本語のキャパシティは大きくなっていく )
このような現状を考えると、インターネット技術の解説のような、現代日本語 に訳することが難しい英語をそのままどんどんカタカナにした用語を多量に 含む文を第三の文体と捉えた場合、日本語の文体は華やかな三重奏になって いく発展過程にあり、日本語のキャパシティは、今後、更に大きくなっていく ことを予感させられるのです。
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(了)
