デジタル化の難しさについて
マイナンバーカードが問題化して、テレビニュースで取上げられて います。政府は行政のデジタル化を進めたいということですが、 進め方が性急すぎて混乱しているということです。
私も、もちろん国レベルではありませんが、会社の仕事のデジタル 化で苦しんだことがありました。私が50代半(なか)ばの頃でし たので、今から20年ぐらい前のことです。
その頃、私は子会社で事務の責任者をしていました。windows95の 出現以来、世の中のデジタル技術の進歩は速いものがありました。 私も、最新の会計パッケージソフトを導入したりして仕事の システム化を進めていました。
(プロジェクトチームが組まれた)
しかし、社長は事務の仕事全体を一気にシステム化合理化すると いうことで、プロジェクトチームが組まれました。 プロジェクトチームは若い社員達によって構成されました。
社長の考えでは、実務を知らない若い社員のほうが現状に捕(と) らわれない自由で大胆な発想をして成果をあげられるというもので した。
そして、外部のシステム会社からSE(システムエンジニア)が招かれ てプロジェクトチームに加わって定期的に会議が開かれていました。
しばらくすると、私は、SEの人にプロジェクト会議に呼ばれるよう になりました。現在の仕事の流れについて聞かれるのでした。 私は、当然のことですが、自分の仕事の実際について誠実に話しまし た。
良いシステムを作るには、SEと現場の人間との協力が欠かせない ことを私は知っていました。特に請求書発行システムのような会社 の外部に直結している仕事は正確性が重要ですので、SEと仕事を 知っている現場の人間との緊密な協力が必要でした。
だいたい正しい、という請求書を得意先に送るわけにはいきません。 会社の信用は一気に落ちてしまいます。私は、請求書発行システムは SEの人にしっかりしたシステムを作ってもらいたいなと思いました。
請求書のように会社の外部に直結している書類は、最初はザックリ したものをつくって段々精度を上げていくという手法はとれないので す。
そのため、会議室での机上の説明だけでは足りないなと思い、SEの 人に私の机に来てもらい、書類やパソコンの画面を実際に見てもらっ て請求書作成の現状を説明しました。SEの人は、よく分かった、と いう感じでした。
(プロジェクトチームメンバーの怒りを買う)
しかし、私のこの行動はプロジェクト会議メンバーの怒りを買いまし た。私がプロジェクト会議室の外で行動したことに怒りが起きたので す。私が勝手な行動をしたととったようでした。
SEの人が帰った後、メンバーの一人が、私の席にやって来て今にも 私に殴りかかりそうでした。短い時間でしたが、緊張した時間の後、 彼は自分の席に帰ってくれたので事なきを得ました。
会社内部だけの事務処理でしたら、実務を知らない若い社員が現状に 捕(と)らわれない自由で大胆な発想をして作ったシステムでも 大丈夫です。内部のことですので、できたシステムを使いながら精度 を上げるという方法をとれるからです。
しかし、得意先と直結している請求書作成システムは、使いながら 精度を上げるという方法をとることはできないのです。最初から高い 精度が求められます。
若い社員は、内部事務と外部事務の区別が分からないのでした。若い が故にやむを得ません。分からないものは分からないのです。
若い時は体力があるなど良い点がいくつもありますが、弱点は無知 ということです。私自身が振返ってみて若い時代は無知でした。何を 知らないのかも知らないという悲しい無知でした。
請求書作成システムは、上記の過程を経たので、SEの人は高い精度の 請求書作成システムを作ってくれました。私は助かりました。
マイナンバーカードは、河野太郎大臣が担当です。河野大臣は デジタルに強いと言われています。しかし、その具体的な中身は、 ツイッターに自分の意見を頻繁に書き込むということです。
ツイッターに頻繁に書き込むから、デジタルに強いとは言えません。 ツイッターに書き込むことはデジタルの素人であっても誰にでもでき るからです。
つまり、河野大臣はデジタルのことをよく知らずにマイナンバーカード 業務の指揮を取っているのです。現場が混乱するのは当然です。
(日本では上層部が現場を知らずに無茶をする)
しかし、対米戦争(太平洋戦争)を学ぶと、マイナンバーカードの混乱 は特別なことではありません。現場を知ろうとしない上層部が無茶を して国民が苦労するのは、日本では特に珍しいことではありません。
対米戦争(太平洋戦争)では軍の上層部が戦場の現場を知らないまま、 無茶な命令を出し続けて惨めな敗戦を迎えました。
現在は、デジタルのことをよく知らない河野大臣が無茶な命令を出して、 市役所などの現場の公務員が苦労しているわけです。戦争と行政の違い はありますが、現場を知らない権力者が権力を使って暴れるという点は 全く同じです。
現場の公務員の方は、どうぞ、上からの指示に100パーセント応 (こた)えようとして無理をしないようにしてください。適切な 労働環境の中で働いてください。
そして、私はマイナンバーカードの状況をよく見ながら適切な対応を 考えていかなければならないと思っています。
(了)