(2017/3/1)
国(政府)の貸借対照表を読む
新聞やテレビで国(政府)の借金の記事が報道されることがあります。国(政府) の借金の金額が大きな金額になっていること、そして、その金額を国の人口で割った 金額、即ち、国民1人当たりの金額、そして、財政破綻が懸念されることが報道され ます。
これに対し、経済雑誌などで評論家の方(かた)などが、新聞やテレビは国(政府)の資産を 報道しないで借金のみを報道するのは良くないという批判をすることがあります。
また、借金の金額を国の人口で割った金額、即ち、国民1人当たりの金額が何を意味 しているのだろうか、という疑問が提示されます。更に、財政破綻の定義を聞いたこ とがないという意見もあります。
( 国(政府)の財政は経済に大きな影響を与える )
国(政府)の財政は経済に大きな影響を与えます。会社で働く会社員にとっても気に なるところです。物事を考える上で出発点になるのは現状把握です。学校を卒業して 就職した会社で、私は何事も現状把握から出発することを厳しく何度も指導されまし た。
国(政府)の財政の現状把握は、国(政府)の貸借対照表を読むことにより可能です。 今は、企業会計の方法を応用して国(政府)も貸借対照表を作成しています。ありがた いことに、財務省のホームページで誰でも見ることができます。いい時代になったもの です。平成25年度末の国(政府)の貸借対照表を見てみましょう。
国の貸借対照表(平成25年度末)
財務省のホームページ 『平成25年度「国の財務書類」のポイント 平成27年3月 財務省主計局』 から引用しました。
この貸借対照表を見ますと、次のようなことに気づきます。
1.公債855.8兆円、公的年金預り金112.2兆円、政府短期証券101.6兆円 と負債には確かに大きな金額が並んでいます。しかし、資産にも有形固定資産177.7兆円、 貸付金137.9兆円、運用寄託金104.8兆円、となかなか大きな金額が並んでいます。
2.資産・負債差額が▲490.4兆円です。資産・負債差額は企業会計では、純資産額に 当たりますが、意味は違っています。企業は利益を求めて活動していますが、国(政府) は利益 を求めて活動しているわけではないからです。国(政府)は課税権を持ってい ます。企業は,そのような権限を持ちません。国(政府)は企業とは違う存在です。まして、家計 とは存在の次元が異なります。「国(政府)の財政を家計に例えると」という表現をよく見ますが、 そのような類比はできないのです。できないことをやってはいけません。判断を誤るからです。
( 国(政府)の貸借対照表の全体を読んで考える )
新聞やテレビで、国(政府)の借金の金額が大きな金額になっています、と報道され ますと、心配になります。しかし、大切なことは、貸借対照表の一部である借金の金額のみを見て 心配するのではなく、上記の国(政府)の貸借対照表の全体を読んで、その意味を自分でよく考え てみることです。
(了)