「入門シュンペーター 中野剛志」を読む
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私は、今から57年前、周りは田んぼだけの地方から経済学を勉強し ようとして、はるばる東京にやって来ました。そして、ある私大の 経済学部に入学して経済学の勉強を始めたのです。
先生が話す経済学は、マルクスの資本論に基ずく経済学でした。 経済原論、経済学史、財政学、、、と色々な科目がありましたが、 どの先生もマルクスの資本論に基ずいて講義をするので、科目名が 違うだけで講義の中身はみんな同じようなものでした。
経済原論の先生は次のように話しました。「資本主義経済の象徴は 商品である。よって、資本主義経済の分析は商品の分析から始める。 商品から使用価値を除く。すると、そこに価値が現れる。」
私は、上記の経済原論の先生の話に違和感を感じました。商品から 人に役立つ使用価値を取り除けば、それは、もはや商品ではなく なるからです。
私は、経済学は卒業に必要な単位だけを取って終わりにし、選択科目 の中から簿記、会計、商法といった科目を勉強して卒業しました。 そして、会社では会計を中心に事務の仕事をやって定年を迎えたので した。
会社を定年になると、暇になります。私は、真実が書かれている 経済学の本を読みたいな、と思いました。シュンペーターを読むこと にしました。
「シュンペーター 経済発展の理論 中山伊知郎、東畑精一訳 昭和二十六年一月十五日第一刷発行 岩波書店」を買いました。
少しずつ読もうと思いましたが、全く歯が立ちません。私にも 読めそうなところだけを読もうとパラパラと見ましたがダメでした。 結局、本棚に収められることになりました。
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ところが、昨年、シュンペーターの解説書が出版されたのです。 「入門シュンペーター 中野剛志 二〇二四年十二月二十四日 第一版第二刷 PHP研究所」です。
早速、買って読んでみました。「なるほど、シュンペーターは、 このようなことを主張していたのか、と私にも分かるのでした。
シュンペーターは、主流派経済学に挑戦します。主流派経済学 は次のような経済理論です。
「主流派経済学の市場均衡理論というのは、まず、「自分の効用を 最大化するために合理的に行動する個人」という人間を前提として います。いわゆる「経済人」の想定です。そして、諸個人が自分の 効用を最大化するべく、与えられた条件の下で、合理的に行動した 結果、市場の価格メカニズムを通じて、需要と供給が一致する 均衡点に向かう。完全な自由競争が行われれば、市場の需給は均衡に 達する。そして、この市場均衡に達した時、資源は最も効率的な 配分を実現している。」(51頁)
シュンペーターは、上記の主流派経済学を「静態的」な経済学と分類 しました。「静態的」な経済学の世界では経済発展はありません。
しかし、シュンペーターが生きた十九世後半から二十世紀初頭に かけて、現実の経済は目ざましく発展していました。主流派経済学 は、発展する現実の経済を説明できません。シュンペーターは、 発展する経済を説明できる「動態的」な経済学を確立しようとした のです。
そして、シュンペーターは「経済発展の理論」を書いたのです。 中山伊知郎、東畑精一は、シュンペーターに直接学び、日本語に 訳して出版したのでした。
シュンペーターは「企業者」に注目します。「イノベーションを起 こす「企業者」が経済発展の原動力である。」(43頁)ということ を発見したのです。
そして、経済が発展し大きくなってくると、イノベーションを起 こす「企業者」は、個人から大企業、政府と主役が変わってくると いうのです。
「入門シュンペーター 中野剛志 二〇二四年十二月二十四日 第一版第二刷 PHP研究所」の著者は、上記のシュンペーター 理解を踏まえて、現在の停滞する日本経済を分析します。
戦後の成長する日本経済の時代は、シュンペーターの経済学を 大切にしていました。しかしながら、2001年に小泉純一郎政権で 「骨太の方針」が閣議決定されます。この時の経済財政政策 担当大臣は竹中平蔵です。
竹中平蔵は主流派経済学者です。つまり、上記の「骨太の方針」 は完全な自由競争を求めるものであり、シュンペーターの 経済学を全否定するものでした。この竹中平蔵のシュンペーター 全否定から停滞する日本経済が始まったのです。
そして、竹中平蔵は何でも自由化すればよいのだと主張し、労働 市場も自由化するのが良いと言って派遣労働を拡大しました。 現在、派遣労働者が大量に増えているのは竹中平蔵のためです。 その後、竹中平蔵は大量に増えた派遣労働者を使って大儲け する派遣会社の会長になって利権を貪ります。竹中平蔵は 日本経済にとって悪魔の使いです。
はたして、日本は、これからシュンペーターの発展する経済に 戻れるのか、それとも竹中平蔵の「骨太の方針」による停滞の 経済を続けるのでしょうか。
私は、昨年出版された「入門シュンペーター 中野剛志 二〇二四年 十二月二十四日第一版第二刷 PHP研究所」が、竹中平蔵の「骨太の 方針」を打ち破って再び発展する明るい日本経済を齎すことを期待 しています。
(了)
